男性の痴漢被害は「表に出ていない数は女性以上に多いのではないか」

痴漢被害について「周囲に相談しなかった」と回答した人の割合は、内閣府の調査で約3割、都の調査では約4割程度にのぼる。

「相談しなかった理由として、男性では『誰にも知られたくなかったから』『心配させたくなかったから』という回答が、女性は『おおごとにしたくなかったから』という回答が一番多い結果となりました。

また、都の調査では、被害を受けた時の気持ちとして『怖かった』と回答している男性は38.6%(女性は49.9%)でした。『男性は被害を受けてもそれほど強くショックを受けない』といった思い込みがあるかもしれませんが、男性も痴漢に遭えば恐怖を感じるということを理解してほしいと思います」

写真はイメージです(PhotoAC)
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さらに、男性が痴漢被害に遭ったあとに取る行動の特徴について、西岡氏は次のように指摘する。

「被害を受けた男性が、友だちとの間で笑い話のネタにするといったことはよく聞きます。本当はすごく不快な出来事だったんだけど、『被害』と捉えると笑われるし、そもそも周りの人も戸惑ってしまう。あるいは相談しても信じてもらえなかったり、まともに受け付けてもらえないこともあると思います。

男性が被害を訴えた場合に『なんでその時に何もしなかったのか』などと周囲から言われる可能性もあるため、男性としても言いにくいし、被害者男性自身が自分の傷口に塩を塗られるような辛い気持ちになることも想定されます。いわば二次被害につながるような恐れがあることから、『最初から援助などを求めず誰にも言わないほうがいい』と考えてしまうのではないでしょうか」

写真はイメージです(PhotoAC)
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男性の痴漢被害の実態に関して「表に出ていない数は女性以上に多いのではないか」と話す西岡氏。背景として、男性社会特有の文化があるのではないかと指摘する。

「たとえば会社の宴会などで、罰ゲームとしてズボンを脱がされたりするようなことも立派な性暴力です。ですが、周囲との関係性や、『本当はすごく嫌だけど、自分も笑って流さなかったら“ノリの悪いやつ”と言われてさらに排除されてしまう』といった恐れから、受け入れざるを得ない――そういう“空気”が、男性の性暴力被害が社会で取り上げられにくい背景にあるのではないかと思います」