「カラオケバトルの巻」(ジャンプ・コミックス第186巻収録)
今回は、カラオケボックスに別々に向かった両さんと大原部長が、相手の姿が見えない状態で熱唱バトルを展開するお話をお届けする。
さて、カラオケとは、「カラ(空)」と「オケ(オーケストラ)」というふたつの言葉を組み合わせた造語で、娯楽として登場したのは1970年代だ。
最初期のカラオケの「オケ」は、スナックなど主に酒類を提供する店に備えられた機材やソフトウェアに依存していた。
最古のものは、カセットテープや「8トラック」という形式のテープメディアを使用。後者は、カセットテープよりもはるかにサイズの大きなテープに、数曲の「音」だけが入っていた。そもそも映像がないため、歌詞が印刷された分厚い本を見ながら歌っていたのだ。
1980年代になるとカラオケボックスが次々と登場。直径30cmの円盤……大きなCDのような「レーザーディスク」に入った映像や音を再生していた。中には、音を数値化したデータを使ってハードウェアに内蔵されたMIDI音源を鳴らしてオケを再生していたりもした。言ってみれば簡単なシンセサイザーのようなもので、実際に楽器を鳴らしているわけではないため、リアル感はイマイチだった。
そして1990年代になると、カラオケに革命が起きる。1990年代なかば以降のインターネット普及に先がけて、オケのデータが電話回線などを使って配信されるように。最新のヒット曲を歌えるようになり、カラオケは娯楽の主役級ポジションへと登り詰めることになった。プロのアーティストが発売する楽曲のヒットが、カラオケウケするかどうかで決まると言われはじめた時代だ。
また、歌手や作詞家、作曲家、レコード会社などの楽曲の権利を持つ者たちには、カラオケで歌われるほど楽曲使用料が入ってくるため、否が応でもカラオケの存在を意識せざるを得ないようになった。
本作が描かれたのは2012年。高音質なサンプリング音源が使用され、カラオケはよりリアルに。さらにピッチ(音程)やタイミング、ビブラート(音の揺らし具合)、ロングトーン(音の伸ばし具合)などの要素を採点し、店舗間ランキングなどのイベント性が高まった時代だ。
ちなみに近年のカラオケにはAIが導入され、歌唱されたデータをディープラーニングして採点のための要素を増やすと同時に、より高得点を得るための歌唱サポートをリアルタイムで行う……といった機能が備わっている。
カラオケの進化はまだまだ止まりそうにないが、本作における両さんと部長のように、高得点だけを目的にする「競技化」しているのも実情だ。
それでは次のページから、両さんと部長が、互いの正体を知らぬままエスカレートするカラオケバトルの行く末をお楽しみください!!



















