素顔を見せられないことのメリットとデメリット

VTuberは、2次元であるがゆえにファンの想像力を掻き立てる存在であることは間違いない。しかし、炎上騒ぎを引き起こした際はやっかいだ。

テレビタレントやYouTuberのガイドライン違反や失言、スキャンダルにおいては、本人の顔を出した謝罪を行なうことができる。アメリカの心理学者アルバート・メラビアンは、誰かが感情や態度を伝える際、言語情報は7%、声のトーンなどの聴覚情報が38%、表情などの視覚情報が55%の割合で聞き手に影響することを示している。

芸能人などの謝罪会見において、涙や苦渋の表情が視聴者に訴える影響は絶大だ。しかし、VTuberは声や書面に限定されてしまう。それだけに鎮火する難易度が高い。

画像はイメージです
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そして、ファンとアンチが真っ二つにわかれているのもこの業界の特徴だ。

VTuberは所属事務所内でのコラボ配信が活発である。しかし、何らかの理由でコラボ配信が行なわれなくなると、2次元の幻想に包まれていることもあって、虚実不明の不仲説が生じやすい。それが大量のアンチ勢を発生させる要因にもなっている。

過激なファンを形成しやすいのは、VTuberが大衆文化に育ち切っておらず、ライトファン層の参入が少ないことも背景にあるだろう。

矢野経済研究所によると、2025年度におけるVTuberの市場規模の推計値は1260億円。これは2025年の同人誌のユーザー消費金額1500億円と近い数字だ。VTuberマーケットは拡大しており、人気タレントはテレビCMやキャンペーンで活躍する姿を見かけるようになったが、一般大衆への浸透はまだしきっていない。

ホロライブと人気を二分するVTuberマネジメント事務所「にじさんじ」は、、所属する男性タレントたちのユニットを成功させてライトファン層の開拓に成功している。しかし、荒らし投稿や誹謗中傷などのアンチ行動に頭を悩ませているのが現実だ。

運営するANYCOLOR株式会社は、誹謗中傷を繰り返した女性に対する聞き取り調査の結果を公表したことで話題になったが、VTuber業界が健全に発展するためにもアンチ行動に対する対策が必要だ。