立川談志の金言。芸を「盗むにも盗む奴の力量が必要だ」

ワタナベエンターテインメントの若手芸人は沢山いる。2024年のワタナベお笑いNo1決定戦の準決勝を見届け人という形で見させて頂いたが、本当に面白かった。事によるとM-1よりも──お世辞ではなく──面白いんじゃないかと思ったほどだ。まあ、後々落ち着いて考えるとやはりM-1の方が面白いんだけど。だけど、一瞬でもそう思えるほど勢いはあった。優勝したのはAマッソ。彼女達の漫才は才気が先走っている。

でね、こんなに面白い芸人が揃っているのになかなか売れない、M-1の決勝にもあまり進むことが出来ないのは何故か? 個々のキャラが薄い。つまりインパクトが薄い。

準決勝の中で江戸川ジャンクジャンクのネタの面白さには舌を巻いた。でも一番覚えているのはちゃんぴおんず。ピンク色のスーツを着てかなりベタな笑いをやる。日本一おもしろい大崎君なんかは「水曜日のダウンタウン」の常連だ。

つまりね、かまいたちの時に感じたような「上手さ」が前面に出てしまっている芸人が多い。ワタナベエンターテインメントのお笑いスクール出身が多いからテクニックを学びすぎちゃったのかなあ。

そもそもお笑いなんて学ぶものじゃありません。落語もそうよ。学んだやつは売れません。感じ取るものです。

「芸は盗むもの」ってことか?

いや、これは違います。談志も言っておりました。

「盗めるものじゃねえぞ」
「盗むにも盗む奴の力量が必要だ」

とね。若いうちは盗む力がないから、感じ取るしかないのです。  

私は弟子に何も教えません。すると彼らは何もしません。感じ取ろうともしない。だから売れない。上手くならない。

弟子だけで20人くらいいる。それだけでも大変なのに、ワタナベエンターテインメントの若手まで手が回りませんよ。もっと売れたら、M-1で最後の決戦まで行ったら書いてやる。偉そうだな。何様だ志らく!

ドクターイエローと自撮りする立川志らく(本人Instagramより)
ドクターイエローと自撮りする立川志らく(本人Instagramより)
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文/立川志らく

『現代お笑い論』(新潮社)
立川志らく
『現代お笑い論』(新潮社)
2025年12月17日
1,034円(税込)
240ページ
ISBN: 978-4106111105
「なんだかわからないけど、面白い」はなぜ生まれる? 〝全身落語家〟を標榜しながら、若手芸人の登竜門M-1グランプリの審査員を務めた著者は、「ぶっ飛んだ」漫才を高く評価する審査を貫き、いつしか個性派を指す「志らく枠」という言葉まで生まれることに――ランジャタイ、トム・ブラウンを見出した落語家が、超ニッチな若手からレジェンドまで総勢90組を縦横無尽に論評、現代の「お笑い」の真髄に迫る!
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