米TIME誌「中国政府は過剰に反応している」
「軍国主義の復活」だの「歴史の反省がない」だのと、使い古されたプロパガンダを大音量で叫び立て、日本への渡航自粛や水産物の輸入停止といった報復措置に出たのである。理性的な外交対応とは程遠い、ヒステリックな感情を爆発させたのだ。
米TIME誌は、この異常な反応の背景にある中国側の「本音」を、鋭い視点で分析している。
「台湾を巡る日中間の対立は、中国の経済的苦境から目を逸らすための有効な気晴らしであり、日本バッシングはナショナリズムの劇場でうまく機能するものの、そこにはリスクもある。
中国政府は過剰に反応しており、ニューデリー、キャンベラ、ジャカルタからマニラ、バンコク、ハノイ、ソウルに至るまで、『不安定の弧』を煽っている。日本の地域のパートナーたちは身を潜めているが、中国の好戦的な振る舞いと、それが何を前兆としているのかについて、不安を感じずにはいられない」
「高市首相が就任早々に二国間関係を破壊したのはなぜか。(中略)高圧的な中国は、防衛費の大幅増額という彼女の公約に対する国内支持を集めるのに役立つ。
さらに、中国に立ち向かうことは彼女の保守的な支持層にとって魅力的な餌であり、ドナルド・トランプ米大統領の尊敬を勝ち取ることも期待したのかもしれない」
(TIME誌『日本の高市早苗はいかにして中国との関係を破壊したか』11月30日配信)
理性を失った独裁政権の末路
この記事にある通り、中国にとって高市首相への攻撃は「経済的苦境から目を逸らすための気晴らし」に過ぎない。しかし、その代償はあまりにも大きい。
日本への団体旅行を禁じ、水産物を締め出すことは、一見すると日本への制裁に見えるが、その実、中国国内の旅行代理店、航空会社、日本料理店、そして水産加工業者を直撃する「自傷行為」である。
中国のSNS上では、日本旅行を楽しみにしていた市民からの嘆きや、突然の禁輸措置で廃業に追い込まれる業者の悲鳴が溢れている。
経済が疲弊し、ただでさえ仕事が少ない中で、観光や飲食という数少ない雇用の受け皿を、政府自らが破壊しているのだ。これこそが、理性を失った独裁政権の末路である。
メンツを守るためならば、国民の生活などどうなっても構わないという冷酷な本音が、透けて見えるではないか。
習近平指導部は、「より積極的な財政政策」で経済を回そうとしているが、一方で外交においては自国の経済活動を阻害するような喧嘩を売り続けている。
アクセルとブレーキを同時に踏み込むようなこの支離滅裂な行動は、彼らがパニック状態に陥っている何よりの証拠だ。













