「子育てを楽しもう」イクメンへの憧れを捨てた瞬間

現在44歳の内山さん。長女が誕生したのは40歳の時だった。妻の琴さんは、不妊治療(体外受精)の末に妊娠。出産後、内山さんは初めて我が子を抱っこした時は感慨もひとしおだったという。

しかし内山さんは1人目を育てる際、“父親とはこうあるべき”と高い理想を掲げていたため、上手くいかないことがある度に、大きなストレスを抱くようになった。

「僕の中で父親としての確固たる理想像がありました。奥さんの中にも“母親として完璧でいなければいけない”という強い意識があったみたいです。お互い理想とする子育ての姿を頭に描いていたのですが、長女が2歳になった頃に“これは無意味だ”と気づいたんです。

というのも、子育ては思い通りにはいかない。当たり前だけど赤ちゃんは僕らのペースに合わせてくれないんです。それに対してイライラしちゃうことは無意味だなって。その時に、僕も奥さんも“子どもと一緒に親として成長していこう”と決めました。何でも楽しもうと思えてからは、子育てが楽になりました」(内山さん、以下同)

2人のお子さんがいる内山信二さん
2人のお子さんがいる内山信二さん
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長女が生まれて約2年後に次女が誕生。内山さんが“子育てを楽しもう”と頭を切り替えた後だ。同時に内山さんはイクメンへの憧れを捨てた。

「子どもたちは日々成長していくんですけど、その姿がかわいくて仕方がない。育児の楽しさ、大変さの比率で言ったら僕は9割楽しませてもらっています。

イクメンで何でもテキパキとこなすお父さんは周りにいます。他のお母さんたちが憧れの眼差しで見るような完璧なお父さんが。そんな人を見て、僕も“こうありたい”と思ったこともあったけど、できないものはできない。開き直りじゃないけど、僕は僕らしく子どもたちと接しようと考えました」

「できないものはできない」と思うと子育てが楽しくなったという
「できないものはできない」と思うと子育てが楽しくなったという

子どもが生まれたことで内山さんの生活スタイルにも大きな変化が生まれた。かつてはスナック通いにギャンブルなど、自由を謳歌していた内山さんだが、現在は仕事が終われば真っ直ぐに自宅に帰る日々だ。

「正直、20代の頃に子どもができたら自分も遊びたい盛りですし、こういう考えにはなれなかったと思います。でも今は子どもと一緒にいる時間が僕の趣味と言える。家族といる空間がなによりも至福なんです。今はもう、仕事が終われば一目散に自宅に帰っています」