「100人を超える顧客の貸金庫から金塊と現金で17〜18億円分を盗んだ」
東京地裁(小野裕信裁判官)は今年10月6日、三菱UFJ銀行の貸金庫から顧客の金品14億円相当を盗んだとして窃盗罪に問われた元行員・山崎由香理被告(47)に懲役9年の判決を言い渡した。
検察側は「前代未聞の犯行」と懲役12年を求刑、弁護側は「実態解明にも協力しており懲役5年が相当」と訴えていた。
公判で被告は「100人を超える顧客の貸金庫から金塊と現金で17〜18億円分を盗んだ」と起訴内容に含まれない犯行も明らかにしていた。
事件は顧客の被害申告をもとに同行が昨年11月、元行員が貸金庫の資産を盗んでいたという概略を公表、同12月に半沢淳一頭取が謝罪会見に追い込まれるなど異例の展開を見せた。
そして今年1月14日、警視庁捜査2課と練馬署が、練馬区在住の元行員・今村由香理(現姓・山崎)容疑者を窃盗容疑で逮捕した。「ゆかちー」とは地元の練馬で飲み歩いていた、彼女の酒場での愛称だ。
数年前まで元行員が足繁く通っていた飲食店の責任者は当時、取材にこう証言していた。
「練馬に近い人が飲み友だちとして集まろうという目的で始められたLINEのオープンチャットがあり、彼女はそこで『ゆかちー』と呼ばれていて、そこのメンバーとウチの店に来るようになったんです。
まだゆかちーさんが江古田支店にいるころで、後から『練馬支店に移ったから通いやすくなった』なんて言っていました。
チャットには100人近く入っていて、その中で集まれる人が来るという感じで、多い時は15人ぐらいで飲みにきたこともありました。彼女が三菱UFJの行員というのは俺も聞いていたし、そのオープンチャットの人達も知っていました」
元行員ゆかちーは、きれいな飲み方をする酒豪だったという。
「週末が多かったけど、最初のころは週2回のペースで飲みに来ていました。お酒は好きで、酒豪と言えば酒豪です。ハイボールがほとんどで、テキーラを飲むこともありました。酒量は多かったけど、暴れたり道端で寝こむようなことはなかった。
ハイボールを6、7杯飲んだあたりから呂律が怪しくなって、カウンター席につっぷして寝てしまうことはありましたが、基本的には周囲を不快にさせる飲み方ではなく、明るく楽しく飲むタイプの方でしたね。
オープンチャットの人達は30代の方が多かったので、ゆかちーさんはアネゴ的な立ち位置で、周囲に話題を振ったり気を遣える一面もあったので、みんなから親しまれていましたよ」



















