首輪にメッセージをつけてやり取りを開始
「保護してほしい」という声もあったが、腹よわボーイさんが最初に見かけたころ、実はこのネコは首輪をしていた。しかし、毎晩通ってくるようになったころにはなくなっていた。
「誰かの飼い猫かもしれない」勝手に保護してご近所トラブルになるのは避けたい。一方で、もし完全な野良化・地域猫化しているのなら、外で暮らすリスクも高いので保護したい……。
その間で揺れながら、どうにかして世話をしている人と連絡を取れないか悩んでいたところ、X のリプライで「首輪に手紙を付けてみれば?」というアイディアが寄せられた。そこで実行したのが「伝書鳩」ならぬ「伝書猫作戦」だ。
「リプで『首輪に手紙を付けてみれば?』とアイディアを頂き、『伝書猫作戦』を実行してみることにしました」
爪が鋭く、最初は首輪をつけるのは簡単ではなかった。流血もしつつ、ようやくつけることができたのは、通いネコの投稿が話題になってから10日後のこと。
それから2日後の5月4日。再び現れたネコの首輪には手紙がなくなっていたが、返事はなかった。返事をくれなかったのか、それともどこかで落としたのか、誰かに外されたのか……。もう一度手紙を付けてみると、5月7日、ついに返事がついた首輪をつけたネコがやってきた。
返ってきたメモの内容から、ネコの素性が判明した。
・近所でお世話されていた外猫が産んだ5匹の子猫のうちの1匹であること
・その家にはすでに数匹の猫がおり、これ以上室内飼育が難しかったこと
・餌や去勢手術などを行いながら、外で面倒をみていたこと
・内気な性格で他の猫とうまく馴染めずにいたこと
そして何よりも大きかったのが、
「良ければぜひ保護してあげて欲しい」
という言葉だった。
「というわけで、準備が整い次第保護します!」
腹よわボーイさんの投稿にSNSは沸いた。
「やったぁぁぁあ!これは運命」「猫ちゃん良かったです」「互いに末永くお幸せに…!」
こうして、約20日に及ぶ一連の投稿は、“ネコに選ばれた物語”として広く共有された。
ここまでが、2025年春にタイムライン上で追われた“通いネコ騒動”の大きな山場だった。しかし、通いネコの物語は、まだ終わりではなかった。













