ソニーは新型機発売サイクルの長期化に成功したか?
いっぽうソニーグループにも変化の兆しがある。
11月11日の決算説明会で、CFOの陶琳(たう・りん)氏が後継機の開発について問われ、PlayStation5販売を今後も拡大していきたいとの考えを示した。同機は発売から5年が経過し、6年目に入っている。PlayStation4からPlayStation5が販売されるまでの期間は、日本でおよそ6年ほどだったため、後継機の言及があって良さそうなタイミングだが、今後もPlayStation5でまだ業績を伸ばせる自信があるようだ。
それを裏付けるように、ゲーム事業の今期上期の決算は好調だった。売上高は前年同期間比6%増の2兆497億円、営業利益は同32%増の2683億円だった。
業績をけん引しているのがソフトウェアと、アドオンコンテンツと呼ばれるゲーム内課金や拡張コンテンツだ。売上はおよそ7%増加している。一方、ゲーム機の売上は横ばいだった。
ソニーはこのアドオンコンテンツに早くから注目していた。そして打ち出した戦略が「ライブサービスゲーム」の強化だった。
ライブサービスゲームはリリース後も継続的にアップデートやコンテンツを追加し、ゲーム内課金などでユーザーから中長期的な利益を出すもの。従来の買い切り型とは対極にあるゲームだ。
ヒットタイトルに業績が左右されやすいゲーム会社にとっては夢のような仕組みだが、ヒット作を生み出す難易度は極めて高い。そのため、ソニーは海外のゲームスタジオを次々に買収した。
こうした背景の中で「ヘルダイバー2」という大ヒット作が誕生した。ソニーが買収したスタジオが開発したタイトルではなかったものの、発売から12週間で(PlayStationとPCあわせ)1200万本突破のインパクトは大きかった。ソニーはソフトの販売手数料に加え、アドオンコンテンツで長期的な収益が得られるからだ。
収益の長期化はゲーム機の寿命を長くすることができ、会社は開発期間を十分にとることができる。アドオンコンテンツの販売は利益率が高いため、新型のゲーム機販売による利益率低下ショックを吸収することも可能にする。
長い時間の中で、ゲーム機ビジネスを取り巻く環境が大きく変化したのだ。
ソニーが5000億円超という破格のM&Aを行なったゲームスタジオBungieが、2026年3月を目途に新作のリリースを控えている。さらなる躍進にも期待ができそうだ。
取材・文/不破聡 写真/shutterstock













