「失われた写真を求めて!?の巻」(ジャンプ・コミックス第100巻収録)

今回は、部長の旅行写真のフィルムをダメにしてしまった両さんが写真の内容を再現・偽造すべく、かけずり回るお話をお届けする。

写真を撮影するためのツールが、フィルムカメラからデジタルカメラ、そしてスマホへと移り変わって久しい。

本作は「週刊少年ジャンプ」1996年27号に掲載されたが、当時デジカメはまだ高額で、写真を保存・プリントするにはPCとの連動などが必要なツールだった。超アナログ派の部長のカメラは、当然フィルム式だ。

フィルムカメラのもっとも大きな特徴は、記録媒体がポリエステルなどで作った膜状の支持体に、光に反応して科学変化を起こし、画像を記録する薬剤を塗布した「フィルム」であること。通常は、光を遮断した筒状のカートリッジに巻かれた状態で収納されており、カメラのシャッターを押すと瞬間的にレンズが映した光景を捉え、記録する。

さらに、薬剤を使った「現像」という行程を経て画像を可視化した上で、現像したフィルムから紙に画像を印刷する「プリント」と呼ぶ作業を行っていた。

また、生体AIによるフェイク画像や映像などが問題化する現代においては想像しづらいほど、画像の加工や偽造には膨大な手間と技術が必要な時代だった。スマホで撮影すれば、特にお金や手間もかけずにデフォルトで「盛った」画像処理が施される現代とは、写真の持つ意味がだいぶ違っていたのだ。

もし『こち亀』が現在でも連載していたら、両さんはどのように生体AIに向き合っただろう? 生体AIをも超えるフェイクや、創造の域にまで踏み込んだ、読者を驚かせる行動を取っただろうか。いつか『こち亀』で、意外かつユーモアあふれる生体AIネタを読んでみたい。

それでは次のページから、失われたフィルムカメラの写真をなんとか再現しようとする両さんの奮闘をお楽しみください!!