散財せず、原付で通ったボキャブラ収録
––––ほっこりする平和なチームですね。西尾さんはぜんぜん散財しなかったのですか?
みんなが外車でボキャブラの収録に来てるときも自分だけホンダの50㏄(Dio)でした。そのあとちょっと高級なのが欲しくて27万円のホンダのJOKERって原付を買いましたけど、これが当時の1番高価な買い物。
でも物欲がないわけじゃなくて洋服でも何でも好きなものを買うんだけど、たまたま単価が1万円前後だったっていうだけで我慢していた感覚はなかったですね。
とはいえ売れている状態が続くとも思っていなかった。漫才ブームもそうだけど、ブームがすぎた途端、いなくなった人もいるので現実的に貯金は必要かなと。
そのために貯めるというよりは、使い切る前に次の仕事がくるので結果的に貯まったって感じですけど、あのときの貯金があって本当に助かりました。
––––大金を手にすると、若手なら舞い上がっても当然だと思いますけど、なぜ冷静になれたんでしょう?
爆笑さんの影響が大きいと思います。2人を見ていると売れても散財しないし、特に太田さんは仕事が終わると原稿の執筆があるからってすぐに帰らはるから本当にお金をつかわない。
田中さんもごはんに行けば後輩におごってくれますけど、それ以上のお金をあげたりしない。わかりやすいハイブランドものとかも身につけていなくて、もちろん財布でもバッグでもすごくいいヤツなんやろうけど、これ見よがしなギラギラしたものを持たないんです。そういうとこはカッコいいなって思ったんですよね。
––––ボキャブラブームが去ったあとの焦りはありました?
当時はありました。ギャラも仕事もどんどん減っていく中で、仲良くしていたボキャブラメンバーはそれぞれ上がっていく。「土田、売れたな」とか「くりぃむもネプチューンもMCやってんな」、「でもオレらヤバいよな」って焦っていました。
その中で頼みの綱は古坂で「こんなおもろいヤツでも売れないから、この世界はわからん」って自分を納得させていたんですけど、それを裏切るようにピコ太郎で世界的に売れちゃって……。
でも古坂もくりぃむもあそこまで売れちゃうと逆にこっちは平気になるんですよ。彼らがもっと下のとこで止まっていたら、変に比べて嫉妬心が出るけど、手の届かないとこまでいくと「すごいな、素晴らしいな」って称えたくなる。
で、「オレらをちょっと使ってもらえませんか」って人のふんどしで相撲を取るほうにさっさと切り替えるみたいな(笑)。僕はそれで精神的に楽になりました。













