「女性は自分の果たした役割を“盛った”だけで…」
その後、斎藤知事の弁護士が沈静化を図るため会見し、PR会社は「ポスターデザイン制作」などの名目で71万5000円をPR会社に支払ったが代表の女性はSNS広報を“ボランティア”として行なったと主張。女性は自分の果たした役割を「盛った」だけで広報の中心にいたわけでもないとし、違法性はないと主張した。
これに郷原、上脇両氏が、71万5000円はネットを含む選挙運動の対価で、斎藤知事は買収罪に、会社代表は被買収罪にそれぞれ当たるとして告発していた。
不起訴とした神戸地検は12日にその理由を説明したと郷原氏は会見で話した。
「(71万5000円が)選挙運動以外の対価であると主張された時に否定できるのか、というところが最終的に(検察判断の)ネックになったようです。
われわれは選挙運動の対価だと立証できるという考えですが、県トップの政治家の事件で起訴するには100%の確信が必要だということに(検察)組織内でなるはずです。その時に、やはりやめておいた方がいいんではないかという判断になることは今までも地方の検察レベルだと結構多かったので、ある程度想定はできたことなのですが」(郷原氏)
郷原、上脇両氏は9月、仮に71万5000円がポスター制作などの代金であったとしても、斎藤知事はこれをPR会社に支払った利害関係を利⽤して会社代表に選挙運動をさせており、公選法が禁じる「利益誘導」に当たるとする追加の告訴状も出していた。だが、検察はこれも「要件に当たるかどうか疑問が残る」として受け入れなかったという。
「買収か利害誘導か、どちらかが成立しているはずだと考えるので不起訴は本当に納得できません」と話す上脇教授は、「今回の事件が不起訴にされると“あれでも起訴されないんだったら大丈夫だ”という間違ったメッセージになってしまう」と主張した。
兵庫県警は9日に、斎藤知事の公金支出疑惑を追及した竹内元県議に対する名誉棄損罪で立花容疑者を逮捕している。知事選後に竹内さんに関する虚偽内容を流布したとの容疑に問われたが、立花容疑者はその前段となる選挙中「斎藤知事はハメられた。主犯は竹内らだ」との内容の演説を繰り返し、竹内さんを攻撃しながら斎藤知事を応援している。
立花氏が逮捕される一方で、洗練されたSNS戦略で斎藤知事のイメージアップを図った側は処分なしとの結果になったことに県議会関係者は「捜査当局は立花容疑者にだけストップをかけた、と感じます」と話した。
斎藤知事はこれまで「法に違反するような事実はないと認識している」と言うものの、具体的な説明は「代理人に対応をお願いしている」と拒み続けてきた。
12日、不起訴が報じられた後もXのポストでは「昨日、県人会のため上京しました。東京の冷え込みは想像以上で、冬が確実に近づいていることを実感しました」と季節の話題にしか触れなかった。













