ウクライナ、ガザだけでない世界に散らばる危機
ガザではイスラエル軍が、ハマスが潜む住宅エリアごと徹底攻撃し、一般住民の大量殺戮を続けている。こちらは米国がバイデン政権も第2次トランプ政権も徹底してイスラエル支持であり、国際社会はこの悲惨なジェノサイドを止めることができていない。
それ以外の地域に目を向けると、たとえば2023年から激化しているスーダン内戦では、同国西部で凄まじい住民殺戮が継続しているが、国際社会の関心は低い。
他にも、アフリカのコンゴやマリ、中央アフリカ、中米のハイチ、東南アジアのミャンマーなどでも流血の紛争が長く続いているが、国際社会は解決できない。2025年にはイスラエル軍とイラン軍の交戦、インド軍とパキスタン軍の交戦、あるいはタイ軍とカンボジア軍の交戦など、限定的ではあるが正規軍同士の戦闘も噴出している。
東アジアでは、中国がさかんに台湾近傍で軍事演習を行うなど、習近平が台湾に侵攻するのではないかとの懸念が広がっている。侵攻を決断できるのは習近平ひとりであり、予測は困難だが、2025年現在はまだ実際に侵攻する徴候はない。
北朝鮮は2017年以降、核実験は行っていないが、ミサイルはさまざまな種類を開発し、発射実験を繰り返してきた。対米核抑止の主力となる対米用ICBMだけでなく、日米のイージス艦のミサイル防衛を回避する低高度滑空機動型の中距離弾道ミサイルや、長射程の巡航ミサイル、ドローン、対韓国用の各種ミサイル/ロケット砲、それに偵察衛星も開発している。
ICBMは2024年10月、大型の固体燃料ICBM「火星19」を発射し、北朝鮮はこれで対米核戦力の完成と主張している。もっとも、おそらく北朝鮮は今後、多弾頭化ICBMを開発し、小型起爆装置の核爆弾の実証実験と、逆に大出力の水爆の実験を成功させて完成としたいのではないかと推測される。
北朝鮮の動きとしてもう一つ注目されるのが、ロシアとの関係強化だ。ロシアはもともと北朝鮮をそれほど支援してこなかったが、2023年夏、対ウクライナ戦で武器弾薬が不足しつつあったことから、北朝鮮から支援を受けることにした。2025年までに砲弾推定600万発を北朝鮮が提供しているとみられる。2024年6月には「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結。軍事同盟ではないものの、両国の軍事的な関係が強化されているのは間違いない。













