「下半身の感覚が徐々になくなっていく感じが怖かった」

石川あんなさん(本人SNSより)
石川あんなさん(本人SNSより)

石川さんは「高齢出産と言われる直前の年齢でしたし、自身のパニック発作の経験もあって、痛みに対し恐怖心があった。『無痛分娩』以外考えられなかった」と振り返る。

「日本では麻酔科医が不足していることが調べてわかったので、私は『麻酔科医が24時間体制で常駐している』クリニックを選びました。そういう情報も全部自分で調べるしかないのが現状なので、そこはちょっと不安でした。

また『無痛分娩』のできるクリニックさんの中には美味しいディナーが食べられるとか分娩中にアロマが焚かれているなどの惹かれる文言で宣伝しているところもあるのですが、やはり大事なのは麻酔科医さんがいてくれるクリニックなのかな、と思いました」

実際に石川さんの出産は東京都が公表する医療機関でJALAの研修も受けた産院で行ったようだが、完全に不安や苦痛がないわけではなかった。

「12月30日に出産予定だったのですけど、生まれる気配がなく年を越してしまったんです。1月6日の朝8時に入院し昼12時に陣痛促進剤という点滴と子宮口を開くバルーンという器具を膣口に挿入されました。これが痛い方もいるようですが、私はそこまで痛くはなかったです。

その日は17時頃に促進剤を終えて、そのまま翌日朝8時に促進剤を打って痛みがきては和らいでを繰り返しました。間もなく会える期待と痛みと不安がありました。そして12時に無痛麻酔を打ったのですが、下半身の感覚が徐々になくなっていく感じが怖かったです」

さらに、いよいよ生まれるという時に「パニック寸前になった」そうだ。

「生まれる直前に会陰が裂けて(赤ちゃんが出てくる際に膣口の皮膚が破ける)、ワカチ子ちゃんが出てくる10秒くらい前に『息を吸わないではいて!』と言われて、酸欠状態で意識が飛びそうになって恐怖でした。『怖い怖い!』と思った瞬間にワカチ子ちゃんが出てきてくれて、うわ〜ってもう泣いちゃいました。出産は麻酔を打ってから8時間後の20時でしたから。出産ってやっぱり、無痛分娩だろうがなんだろうが大変なんだなって思った瞬間です」

ワカチ子ちゃんと石川さん(本人Xより)
ワカチ子ちゃんと石川さん(本人Xより)