現役医師の4割が美容目的で処方を求められた経験が… 

ヒルドイドは高額な美容クリームよりも効果があるなどという噂が女性の間で広がり、化粧品を購入するような感覚で病院を訪れるケースが続出した。もともとはアトピー性皮膚炎ややけど、加齢や糖尿病による皮膚の乾燥などに使われるものだが、高い保湿効果に注目が集まったわけだ。 

一般的にはヘパリン類似物質という総称名で使用される医療用医薬品「ヒルドイド」(画像はイメージです)
一般的にはヘパリン類似物質という総称名で使用される医療用医薬品「ヒルドイド」(画像はイメージです)

ヒルドイドは2024年10月に患者の窓口負担が引き上げられた。しかし、OTC類似薬で保険適用は続いている。

医療従事者専門サイト「エムスリー」は2024年にヒルドイドの処方を巡る実態調査を行なっており、開業医の40.6%、勤務医の34.5%が美容目的と思われるヒルドイド処方を求められた経験があると回答している。

アンケートの中では、「1歳の子どもに処方できる最大量を処方してほしいと言われ」、「2週間後に使い切ったので再度処方してほしいと再診された」との経験談が語られている。「使用量が多すぎると指導したところ、以降来なくなった」という。

ヒルドイドと同じ成分の市販薬が「ビーソフテンクリーム」だ。100グラム3個セットで4000円前後で販売されている。「ヒルドイド」が300グラム処方される3割負担の場合は2400円程度である。負担額が引き上げられても、OTC類似薬のほうが安い。

ただし、病院での受診料が必要になるため、1回の受診でできるだけ多く処方してもらおうという人が数多くいるわけだ。医療保険制度の抜け穴をついた姑息な方法であり、健康保険組合連合会は保険適用外とすることすら求めていた。

今回、日本維新の会とタッグを組んだ高市政権が誕生したことにより、いよいよOTC類似薬の在り方そのものが問われるようになったわけだ。