「持病を公表をしてすごく良かった」
熊切は20代の終わりに、皮膚や粘膜に急な腫れ・むくみが起こる疾患「クインケ浮腫」を発症した。病気を公表したのは40代に入ってからだが、とはいえ勇気のいる決断だった。
「現状を知ってほしくて、発症した際の写真を公開しました。もしかしたらネガティブなイメージにつながるかもしれないという懸念もあったんですが…。
でも、持病を公表をしてすごく良かったと今は思っています。事務所や私のSNSを介して、同じ病気で悩んでいる人から『私もです。熊切さんの公表に勇気が出ました』という連絡をもらうこともあるんですよ」
同じ病気で苦しむ人たちからの反応が、彼女の決断が正しかったことを証明した。
「あまり知られていない病名ですが、比較的若い女性に多い病気みたいなんですね。私の行動が、他の人たちの勇気につながったことが嬉しかった。誰かのためになれたんだなって」
自分が思っている以上に、同じ悩みを持つ人が多いことに気づいた。今後は悩みを抱える人たちに対し、『有益な情報を発信できる場を作りたい。大丈夫だよ、仲間はいるよと伝えたい』と思っているそうだ。
45歳を迎え、熊切にはまだまだやりたいことがある。
「美容や健康にまつわる仕事を増やしたいですし、中国語を勉強してSNSで発信できるようにもなりたい。いろんな経験をしたけれど、今は毎日、周りに感謝しながら平和に暮らしてる自分がいるということを紹介して、悩んでいる人たちの元気につながると嬉しいですね」
先日、50歳を迎えた友人から、こんなメッセージをもらったという。
「50歳を超えると、この人とはもう付き合いたくないから付き合わない、この人といると楽しいから付き合うっていうのが明確にできるようになってくるから、人間関係の悩みが減るよ、って。それを聞いて、50歳の自分が楽しみになりました」
崖っぷちに立ちながらも、決して落ちることなく前を向き続けてきた熊切あさ美。その姿は、年齢や環境に縛られず、自分らしく生きることの大切さを教えてくれる。
「年を重ねるのことがこんなに楽しいとは思わなかった」そう笑った彼女の顔は間違いなく美しいものだった。
取材・文/木原みぎわ 撮影/山田智絵













