自民ベテラン議員「閣外協力で落ち着いて、本当によかった」
自民党と日本維新の会の連立政権の樹立に向けた党首会談が20日午後6時過ぎから国会内で行われ、高市総裁と吉村代表が合意文書に署名した。
両党の連立合意文書によれば、食料品に限った消費減税ゼロ%については、2年間限定で行うことも視野に「法制化の検討を行う」とされた。
首都機能を補完する「副首都構想」を巡っては、「来年の通常国会で法案を成立させる」を目指すと明記された。企業・団体献金の廃止については、いまだ両党の隔たりが大きく、高市氏の総裁任期である2027年までの実現を目指し、継続協議をするという。
さらに、維新が重要視してきた衆院議員定数の削減については、「1割を目標」にするとされ、臨時国会で議員立法案を提出することで合意した。
ただ、議員定数削減については「民意の反映を阻害する」といった異論も多く、難航も予想される。
維新から閣僚は出さず、閣外協力にとどまる。馬場伸幸元代表の盟友・遠藤敬国対委員長(57)が総理補佐官に起用されるのみとなる見通しだ。
遠藤氏は維新で国会対策委員長を長く務め、与野党問わず幅広い人脈を誇ってきた。
連立協議を巡っても、「遠藤がいないと話にならない」(自民幹部)と言われるほど、自民党からの信頼が厚い。ちなみに、若い頃から秋田犬のブリーダーとして名をはせた一面があり、今も公益社団法人・秋田犬保存会の会長を務めている。
「維新内部では複数の閣僚ポストを狙うのではないかとささやかれていたが、維新は所属議員の不祥事が多いと指摘されてきた。仮に、大臣をはじめ政務三役を出せば、国会の予算委員会などで追及されてしまい、高市政権の“時限爆弾”となりかねない。そのため安全策をとったという評価もあります」
一連の動きに対して、維新と対峙してきた自民党大阪府連に所属する自民現職は「高市さんが総理になりたいという気持ちはわかるけれども、維新と戦ってきた我々の立場はどうなるのか。地域支部の支部長を辞めることも考えています」と漏らす。
いっぽう、高市氏と近しい自民党のベテラン議員は、こう本音を吐露した。
「閣外協力で落ち着いて、本当によかった」
この議員によれば、両者の関係が「閣外協力」という限定的な関係にとどまったことで、維新との連立は今後、見直しやすくなると指摘する。
「今回一番大事なのは、確実に首班指名選挙で勝ち、高市さんが総理になることです。当然ですが、総理になれば、解散権をとれます。まずは臨時国会で、ガソリン税など物価高対策で協力し、実績をつくったところで解散すればいい。
目玉政策を打ち出した上で、支持率が高いうちに解散。それで自民党の議席を取り戻す以外に政権を安定させる方法はないでしょう。もちろん、維新との合意文書はあるわけですが、選挙後の連立の組み直しの可能性は、ゼロではない」