住んでいたのはどんな人?
ヨッシー工務店さん自身も詳しくはわからず、聞いた話によると、高齢の女性のようだが、残置物から人柄を察しようとしても、「生活のイメージはできませんでしたね。昭和にタイムスリップしたような感じでした。ゴミが捨てられない人だったのだな、という印象しかないです」と語る。
一方で、その女性は亡くなる直前に警察の面倒になっていたという。翌日に自宅で亡くなり、発見はその翌日だった。そのため、幸いにも腐敗は進まなかったそうだ。
現代の暮らしから切り離されたような部屋。きれいに整えられた他の住戸と比べても、その異質さは際立っていた。
これまでに数多くの物件を見てきたヨッシー工務店さんだが、今回のようなケースは初めてだった。「清掃した後にどうなるのか楽しみです。実際にこうした特異な物件を目にして、テレビでしか見られなかった世界に直接触れたような気分でした」と話す。
築50年のアパートの一室に残されていたのは、玄関から足を踏み入れることも難しいほどの大量の残置物と、昭和の暮らしを思わせる光景だった。ある人とともに長い時間を過ごしてきたこの部屋は、清掃を経て新たな人に引き継がれ、これからまた別の人生を見守っていくだろう。
取材・文/集英社オンライン編集部