需要超過でインフレが加速する未来も
円安以外にも物価高進行の材料が「需給ギャップ」だ。これは、総需要と供給力の差のことで、供給より需要が多いとプラス、需要よりも供給が多いとマイナスになる。
内閣府は2025年4-6月の需給ギャップがプラス0.3%だったとの推計を発表した。8四半期ぶりのプラスである。この推計では、年換算で2兆円の需要超過だったことを示している。暑さによる飲食需要などで個人消費が上振れしたと見られている。
需要が上回っているなかで財政出動による需要喚起に動けば、物価高に拍車がかかる可能性があるのだ。
総裁選出後の記者会見で高市氏は「物価高対策に力を注ぎたい」と語っているが、積極財政や減税策はインフレを助長しかねない。そのバランスを見極める手腕が問われている。
取材・文/不破聡