僕の夢はやっくんと同じ夢
2013年10月5日、山口県内の高速道路で悲劇が起こる直前、バンドメンバーだったTaiGa桜塚やっくんにこんな言葉をかけられたという。
「事故が起きる数十分前、突然『伊織、お前はもっといろんなことをやっていけよ、できるはずだから』って言われたんです。モノマネとか、タレント的な活動もしていけ、って。
やっくん自身が芸人、歌手、声優とオールマイティに活動していたからこそ、僕に可能性を見出して言ってくれたんだと思います。
やっくん自身がメンバーをオーディションで選んだので、僕らを芸能の仕事だけで食わしてやりたいという思いがあったみたいで。あの時の言葉が今もずっと心に残っていますし、それ以外の言葉も、今も残り続けています」
あれから12年。今もお墓参りを続ける理由を聞くと、長い沈黙の後TaiGaはこう答えた。
「これは…何でしょう、もう随分時間が経つし、行かなくてもいいわけじゃないですか。だけど僕が今も活動できているのは、やっくんのおかげなので。だから命日になると自然に“報告しに行こう”って思うんです。今日も“今年はこんなことがあったよ”って伝えに来ました」
しかし、そんな彼でも毎年、やっくんの命日になると心がざわつくこともあるそうだ。
「今もやっくんの死を利用する心無い人がいて…。今もSNSを見ると心が痛いですが、当時も今も命日が近づくと辛いですね。詳しいことは今はまだお話しできないですけど、いつか時が来たら…。あの事故後、何が起こったのか全てをお話ししたいと思っています。」
今も歌手活動を続けるTaiGaだが、一度は芸能界引退を考えたこともあったそうだ。
「武道館ライブという目標のため歌手活動を続けてきたんですが、2019年に甲状腺がんを患い、声が出なくなってしまったんです。その上コロナの影響もあって、ライブをすることができなくなってしまい、年齢的なものもあり、あの時は本気で他の仕事をすることを考えていました。
また、昨年8月には、尿膜管遺残という病気にかかり、薬を処方されてもどんどん症状は悪化して、ヘソから膿が出てくるなど、想像を絶する痛みを味わいました」