「会見では今までとは違った安定感を見せることができた」
小泉氏は他の候補に比べ、論戦力や政策理解度に弱点があるとされるが、20日の記者会見では対策を講じ、たくさんの資料を用意した。質疑応答では、手元の資料に目を落とす場面が目立った。まるでカンニングペーパーを見ているような様子から、ネット上では「カンペの進次郎」と揶揄する声もあがった。
それでも、「会見では今までとは違った安定感を見せることができた」と手応えを語るのは、小泉選対のベテラン議員である。
「小泉氏も昨年と異なり、政策面も含めて一人ではできず、様々な力を借りないといけないということを実感している。若さを強調すると同時に、自分の足りないところは聞く耳を持って、先輩に補ってもらうという姿勢だ」
小泉氏を支えるメンバーも変わってきている。前回総裁選では小倉将信元子ども担当相や、村井秀樹前官房副長官、小林史明元デジタル担当副大臣など、40代の“チーム小泉”が中心だったが、「仲間内でやっている感じで、小泉氏が総理になった後の“組閣感”も上手くイメージできなかった」と小泉選対の自民党中堅議員は語る。
ただ、今回は経験豊富なベテラン議員らが、間近で支えるなど、重厚なサポート体制ができあがっているという。
「加藤勝信財務相の選対本部長就任はもちろんですが、政策通として知られる齋藤健前経産相や、岸田文雄前総理の側近として知られる木原誠二選対委員長という実力派議員が“家庭教師役”としてついているのが大きい。小泉氏の後見人である菅義偉元総理も『進次郎を頼む』と周囲に頼んでいます。
野党人脈が豊富な“菅側近”の佐藤勉元国対委員長がサポートに回っているのも、連立枠組み拡大の議論が本格化する中で心強いでしょう。御法川信英前国対委員長代理や、古川禎久元法相らも、小泉氏と重鎮議員の連絡役を務めています」(前出・小泉陣営関係者)
昨年の総裁選の第一回目の投票は、高市氏181(議員票72、党員票109)、小泉氏136(議員票75、党員票61)という結果だった。党員票で高市氏に大きく水をあけられたのだ。
それでも、小泉選対関係者は「議員票は前回よりもさらに積み増せるだろう。党員票は読めないが、世論調査を見る限り、それほど悪くないだろう」と自信を見せる。
実際、日本テレビが9月19日から20日まで実施した、自民党員・党友と回答した人への電話調査では、小泉氏が32%とトップで、高市氏は2位で28%という結果だった。
とはいえ、昨年の総裁選でも、当初は本命視されていたものの、論戦が進むにつれて失速し、決選投票に残れなかった。果たして、自民党の再生のために持論を封印した小泉氏は、“カンペ”を駆使しながら論戦を無事乗り切れるのか。連日の公開討論会が勝負になりそうだ。
取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班