韓国と比べ、日本のテレビは「なかなかシブトイ(笑)」
――10年後の地上波ドラマはどうなっていると思いますか
佐藤 正直、もっと早く地上波がダメになると思っていました。11年前に日テレがHuluを買収し、Tverが始まり、その時期から地上波のその先を模索していたのに、世界的に見ても異例ですが日本の地上波だけまだ市場を維持しているんです。日テレも地上波広告収入がどんどん減るかと思いきや、むしろ上がっていたりして…「なかなかシブトイな」っていう(笑)。
でもこれ良し悪しあって。お隣の韓国では早々に地上波がダメになったので、ネトフリを通じてグローバル配信に舵を切りましたが、日本はまだまだ国内需要が強く、日本国内で成立してしまったりするのでグローバル化が遅れているとも言えます。でもそれも日本の個性として、海外とは違う形でテレビが生き残るのかなっていう気もします。
――今後、映画・配信・テレビといったコンテンツの役割分担や位置づけは、どのように変わっていくとお考えですか。
佐藤 ユーザーの動向は、「損したくない」とより効率的になっているので、コンテンツ消費の二極化が進む気がします。映画は能動かつ有料なので「しっかりお金を払ってすごくいいものを見る」という高級な娯楽への変わっていくと思います。だから製作費も値段もあがる。
配信サービスはプラットフォームによって能動か受動か、高級か無料かによって変わってくるでしょうし、Tverやテレビは無料なのでもっと気軽に受動的に観られるもの、自分でコンテンツを探さなくても気軽に観られるものにそれぞれ特化していくと思います。
――そのなかで、日テレとHuluはどう差別化し、共存を図っていきますか。
佐藤 日テレはグローバルに、Huluは国内需要への勝ち筋を探っていきたいですね。
取材・文/木下未希