デビューから4年で400回以上ものライヴを積み重ねたレッド・ツェッペリン
「もし私たち4人全員が最高の演奏をしたなら、バンドは5次元に到達できた」
ギタリストのジミー・ペイジは、レッド・ツェッペリンのステージについてそんな言葉を残している。
遡ること1968年。ジミー・ペイジが在籍していた英国バンドのヤードバーズは、メンバー間の仲違いやツアーへの不満から空中分解し、ジミーは新たなメンバーを探すことになった。

ジミーのスタジオ・ミュージシャン仲間だったベーシストのジョン・ポール・ジョーンズ、4歳年下のヴォーカリストのロバート・プラントとその友人でドラマーのジョン・ボーナムという、いずれも飛び抜けた実力を持つ3人を集めてレッド・ツェッペリンを結成。
3か月後には、わずか9日間で1stアルバムを完成させ、マスターテープを持ってアメリカの名門アトランティック・レコードと、新人としては破格の条件で契約を交わした。
年が明けると、活動の中心はイギリスからアメリカに移り、各地をツアーで回り始めた。最初の頃は前座を務めることが多かったが、無名の新人バンドとは思えない世界屈指のテクニックと、観る者を圧倒するエキサイティングなステージは、他のバンドにとってまさに脅威だった。
こうしてレッド・ツェッペリンはあっという間にアメリカで支持を集め、デビューアルバム『Led Zeppelin』は全米10位、2か月後にリリースされたイギリスでは6位を獲得。さらに同年10月に発売された2ndアルバム『Led Zeppelin II』は米英それぞれで1位となり、バンドの人気は不動のものとなった。
以降、1973年にロバートが喉を痛めるまで、4年間ほぼ休むことなくツアーを続けて、400回以上ものライヴを積み重ねた。
その中でもジミーが絶好調のレッド・ツェッペリンとして挙げているのが、1972年の全米ツアー。これは2003年に『How the West Was Won』(「伝説のライヴ」)としてリリースされた。
8回目となる全米ツアー終盤のライヴを編集したこのアルバムでは、4人が一体となった『Whole Lotta Love』(胸いっぱいの愛を)をはじめ、『Dazed And Confused』(幻惑されて)では20分以上にわたる演奏時間の中で変幻自在のセッションを展開し、まさに“5次元に到達”したレッド・ツェッペリンのライヴを聴くことができる。