ニュウマン高輪に残る不安
もちろん、ルミネ側も手をこまねいている訳ではない。開業に先立ち、周辺一帯の住宅にニュウマン高輪の店舗を紹介する冊子を配布。マツモトキヨシや無印良品など庶民的な店も入れた。
また、高級スーパーである明治屋の中には北海道産の商品を並べる「北海道どさんこプラザ」を入れ、集客力の足しとした。ハイブランド系を中心に高価格帯の店舗ばかり誘致し、商業施設には閑古鳥が鳴いている虎ノ門ヒルズなどを他山の石としたとも言える。
しかし、この点でも不安は残る。開業翌日の13日にニュウマン高輪を訪れると、駐車場は満車となっており、警備員が「路上で入庫待ちをしないでください」と道行く車に注意する光景があった。
まだ工事が完成していないという事情があるとはいえ、現時点での高輪ゲートウェイシティの駐車場のキャパシティは600台弱と、2200台を誇るららぽーと豊洲や1000台を超える六本木ヒルズよりも劣る。
不動産デベロッパーが開発した商業施設では、提携クレジットカードを保有していれば一定の時間の駐車料金が無料になるサービスが一般的だが、これも導入していない。
顧客目線の不在を感じる光景
鉄道事業者であるJRとしては自動車ではなくできるだけ鉄道を使ってほしいという意図なのだろうが、顧客目線の不在を感じる光景だった。
とはいえ高輪ゲートウェイシティのオフィス棟はすでにKDDIやマルハニチロ、神戸製鋼所などの大手企業が入居を決めているほか、現在建設中のレジデンス棟やライブ空間を備えた文化創造棟も順次稼働する予定だ。
マンション大手の野村不動産が高輪ゲートウェイ駅から徒歩5分の好立地で土地を取得するなど、周辺開発も盛り上がりつつある。
庶民的ではない、少し気負ったように見える店舗のラインナップも、高輪エリアの発展を先取りしたとも言える。ルミネの掲げる「100年後のまちづくり」の成否がはっきりするのは、もう少し時間がかかりそうだ。
文/築地コンフィデンシャル