「亀有でこぼこコンビの巻」(ジャンプ・コミックス第5巻収録)

今回は、両さんと一匹の野良犬とのでこぼこコンビぶりを描いたお話をお届けする。

「気になるふたり」を銘打ちながら、初回から「ひとりと一匹」なのは、気にしないでいただきたい。

「犬」は、派出所のマスコットポジションを長らく務めた、初期『こち亀』の準レギュラーキャラクターだ。

「お犬様の巻」(ジャンプ・コミックス第4巻収録)で、派出所の近所に住む悪ガキどもが拾ってきて、両さんにけしかけたシーンで初登場した。大金入りのバッグを拾い、その謝礼として200万円もらったのをきっかけに、派出所で飼われるようなった。

この犬、大都会・東京で野良として生き抜いてきただけあって両さんも顔負けのしたたかさを持っており、人間たちに一泡吹かせることも多かった。

だが登場を重ねるうちに、派出所の面々にも馴染んですっかりペット化……というか、表情も人間並みに豊かに描かれるようになり、いつの間にかすっかり名脇役に成長していた。9月9日からお届けする「かめありエンジェルス!?の巻」(ジャンプ・コミックス第13巻収録)でも、すっかり派出所に馴染んでいる姿が描かれている。

なお、長期連載作品にはキャラクターの入れ替わりがつきもの。

派出所のレギュラーメンバーですら例外ではない。連載初期の強面警官・戸塚金次(とつか・きんじ)や、第1話から数十年間登場し続けたものの新人・雑学(ざつ・まなぶ)にそのポジションを譲った寺井洋一(改名して丸井ヤング館)など、退場したキャラもいる。

この犬も、残念なことにいつの間にか姿を消してしまった。だが「うさぎが跳んでいった日の巻」(ジャンプ・コミックス第143巻収録)では、20年ぶりに元気な姿を見せている。

「お犬様の巻」&「山は友だち!?の巻」(ジャンプ・コミックス第29巻収録)より。初登場時には両さんにガブリと噛みついたが、準レギュラー時代の最後のエピソードでは、雪山で遭難した両さんのもとに無線機や食糧を背負って駆けつける、頼れる相棒に!!
「お犬様の巻」&「山は友だち!?の巻」(ジャンプ・コミックス第29巻収録)より。初登場時には両さんにガブリと噛みついたが、準レギュラー時代の最後のエピソードでは、雪山で遭難した両さんのもとに無線機や食糧を背負って駆けつける、頼れる相棒に!!

それでは次のページから、連載初期の愛すべき名脇役「犬」と、両さんとの軽妙なやりとりをお楽しみください!!