「メガソーラーも新図書館も彼女じゃなきゃ止められなかった」
ただ、メガソーラー計画は前述の通り前市長時代に止まり、今は現場事務所に人の出入りもない。ほかでもない田久保市長自身が当選直後「河川の許可が出ることはなくなりましたからメガソーラー関係は終わりです」と市議に話していたことがわかっている。(♯11)
その田久保市長が計画再開の可能性があると主張する理由について市政関係者は「メガソーラー反対で田久保さんを支持した人も今回の騒動で離脱しているのではないでしょうか。このため田久保さんは“メガソーラーは終わっていない”と危機感を煽って支持をつなぎとめようとしているのでしょう。
さらに、前市長が任期中に事業者と秘密裏に確約書を交わしたため事業が進んだともSNSで主張し、対立する前市長派を牽制しています」と話す。
確かに建設現場近くに住む男性は「私も田久保さんに票を入れたけど、あんなに無茶苦茶だともうだめだよね」と見切りをつけたことを隠そうとしない。だが、伊豆高原の住宅地では報道に出ない田久保支持の声も根強く多い。
40代の男性は、田久保市長の行動力を高く評価しているという。
「正直、学歴なんてどうでもいいので嘘をついたことは謝って市政を進めてほしいです。次の選挙でも田久保市長を応援しますよ。なぜって? メガソーラーも新図書館の建設も彼女じゃなきゃ止められなかったからです。
彼女は専門的な知識には欠けるかもしれませんが、専門知識を持つ人が考えたことを持って彼女がメガソーラーの事業者と話をしてきたわけです。彼女ならではのエネルギーというか押しの強さも大きかった。だから彼女が市長から降りれば、止まっていたメガソーラーや新図書館計画が動き出すということは十分に考えられます」
古くから田久保市長を知っているという伊豆高原の商店経営者も同調する。
「ウチにくるお客さんにも田久保さんに頑張ってほしいと思うかたは多いんですが、ある種のタブーというか、こちらから『田久保さんを応援してる』とは言い出しにくい空気があります。それでも市長に就任してすぐに新図書館の入札を停止したり、田久保さんには行動力があるんですよね。これまで市の政治家が金に汚いところを見せてきたので、それに比べるとやっぱり行動はしてくれる、市民の声を拾ってくれると思います。
伊東市が田久保さんのせいでバカにされてるのは悲しい事ではあるんですけど、あそこまで炎上して袋叩きにあってなお平気な様子なので、やはりエネルギーのある人なんかなとは思ったりします」
市議会が市長不信任決議案を可決すれば田久保市長は10日以内の失職か議会解散を迫られる。辞任しない田久保氏が失職を選ぶ公算は低く、解散後の市議選で選ばれた次の市議会が再び市長を不信任案を通して田久保市長が失職、出直し市長選になる、という流れになることが予想される。
その時、民意は誰を市長に選ぶのだろうか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班