規制強化は転売ビジネスを複雑化させる?
世界最大のオンライン中古マーケットeBayには、すでにハッピーセットのポケモンカードが並んでいる。「ピカチュウ」のカード1枚で25ドル近辺で販売されているものが多かった。1ドル145円のレートで3625円だ。
日本のフリマサイトでは1500円程度だったが、出品者にとっては、海外の取引のほうが割がいい。船便での発送で買い手が見つけられるのであれば、日本のフリマサイトで購入してeBayで転売しても十分な利ザヤが得られる。
そしてeBayの出品者の中には日本のトレーディングカードやフィギュアを専門的に扱っているケースも見受けられる。つまり、転売を生業としている人たちだ。このマーケットが存在する限り、転売を食い止めることは不可能に近い。
マクドナルドはポケモンのハッピーセット第2弾において、1グループ3セットに制限するなど、転売対策を強化した。このような対策を進めると、将来的には「子供づれの顧客にしか販売しない」「店内で飲食する顧客に限って販売する」といった規制にまで行きつくのではないか。
その先にあるのは、小遣い目当ての第三者に、転売ヤーがハッピーセットの購入を依頼するという闇深い転売ビジネスだろう。
マクドナルドは2025年1月から6月までの客数が前年比で3.3%増、7月は8.8%増だった。集客状況は良好で、ポケモンの限定カードをちらつかせて無理な客寄せを行なう必然性は感じない。むしろ、カードを広く行き渡らせるほうがブランドイメージも回復するのではないか。
転売防止を目的とした規制の強化は、さらなる悲劇を生み出すだけである。
取材・文/不破聡