節約志向が高まり「もやし レシピ」の検索数が増加
帝国データバンクによると、10月の食品値上げ予定品目数は3000品目を超え、今年4月以来となる値上げラッシュになる見通しだ。物価高騰は続いており、食料品の1回当たりの値上げ率は2023年が平均15%、2024年が17%、2025年が11月までの公表分で15%になるという。
今年6月は物価変動分を加味した実質賃金が前年同月比で1.1%増加し、27カ月ぶりにプラスに転じた。2025年春の春闘の平均賃上げ率は34年ぶりの高水準で、5%以上を2年連続で達成している。しかし、賃上げ圧力が高まっているのは大企業であり、中小企業はその余力に乏しいのが現実だ。日本商工会議所が4月から5月に行なった調査では、賃上げ率は4%で、賃上げを実施していないと回答した会社は2割に及んでいる。賃上げは二極化しているのだ。
家計調査からは、生活費の高騰で贅沢品を抑える姿が浮かび上がる。「パック旅行費」は2019年の支出額が4万5999円だったが、2024年は3万2744円で1万円以上減少した。ホテルなどの宿泊費は上がっているため、旅行の回数を削っている可能性が高い。また、勤労者世帯の夫の「こづかい」は11万1665円から7万409円と、4万円以上減っている。
そして食事の節約意識も高まるばかりだ。料理アプリを運営するスナップディッシュの調査によると、9割が節約意識が増えたと回答しており、購入頻度が増えた食品として「もやし」と「納豆」の名前が挙がっている。どちらも低価格で家計に優しい代表的な食品だ。
実際、家計調査の2024年の年間支出額では、「もやし」が前年比で1.8%、「納豆」が6.2%上昇している。「もやし」の価格は4~5年で1割程度の価格上昇、納豆はほとんど価格が変わっておらず、消費量の増加が支出額を押し上げているようだ。

Googleの検索需要を調査するGoogleトレンドで「もやし レシピ」を調べると、検索数は右肩上がりで増加している。調理の工夫で、少しでも美味しく食べようとする庶民の姿がグラフに滲み出ているようにさえ見える。