冷房より暖房のほうが電気代は高い
一般的に冷房より暖房のほうが電気代は高くなると言われているが、なぜなのだろうか?
「エアコン暖房は、屋外の空気中の熱を室内に運び込んで部屋を暖めています。まず室外機が外の空気を吸い込み、空気中にある熱を熱交換器で集めます。集めた熱は室内機と室外機をつなぐパイプの中に流れている『冷媒』という物質が受け取り、室内機へ運びます。室内機の中にも熱交換器があり、そこで熱をおろし、温風として室内に吹き出しながら部屋を暖かくしています。
この冷媒を循環させているのが“エアコンの心臓” とも言える『圧縮機』です。圧縮機は、エアコンの消費電力の大部分を占める部品で、その割合は80%です。エアコンの電力のほとんどはこの圧縮機が使っています。
そのため、例えば夏は外気温32℃で設定温度27℃にするとその差は5℃ですが、冬は外気温温7℃、設定温度20℃にするだけでも、その差は13℃にもなります。外気温と設定温度の差が冬のほうが大きくなるため、それだけ圧縮機にかかる負担が増し、消費する電力量が大きくなり、冬のほうが電気代がかかるのです」(重政さん、以下同)
節電ポイント1:風向きを下にして床付近から暖める
このように消費電力が大きくなる冬場は、効率的に部屋を暖めるにはどうしたらいいのだろうか?
節電のポイントを挙げてもらった。
「節電の工夫のひとつとして、風向を下向きに設定することをおすすめします。
暖かい空気は天井付近に、冷たい空気は部屋の下にたまりやすいという性質があります。
夏は風向きを水平にして、空気のムラを抑えたほうが節電につながりますが、冬は下向きにして床付近から暖めることで節電につながります。足元が寒いとつい設定温度を上げてしまいがちですが、必要以上に設定温度を上げてしまうと、そのぶん無駄な電力を消費してしまいます。冬も夏と同じように、温度ムラを抑えることが大切です。
風向を下向きにしても足元が肌寒い場合は、温度ムラが抑えられていない可能性があります。そうした際には、天井に溜まった暖かい空気が足元に降りてきやすいよう、空気清浄機やサーキュレーターを活用して室内の空気を攪拌してみてください。空気清浄機やサーキュレーターは、エアコンの向かい側に壁を背にして置くのがおすすめです。
また、風向きを下方向にするとで、体に直接風が当たりにくくなり、ある程度の乾燥対策にもなると思います」