「ケータイ小説家の巻」(ジャンプ・コミックス第173巻収録)
今回は、両さんがケータイ小説家としてデビューするお話をお届けする。
両さん謹製の小説、実はとある裏があり……?
本作をお読みいただく前に、「ケータイ小説って何?」という方も多いと思うので、まずは簡単に説明しておこう。
「ケータイ小説」とは、携帯電話で読むことを前提とした小説を指す。「スマホやタブレットで読むなんて当たり前」かもしれないが、ここで言う「ケータイ小説」とは、ガラケーで書かれ読まれたもののことだ。
本作が「週刊少年ジャンプ」に掲載されたのは、2010年。ケータイ小説ブームの終焉時期近くのことだった。
そもそもネット上でアマチュアが自作の小説を発表する行為自体は、インターネット誕生以前の1980年代の「パソコン通信」時代から行われていた。だが、1999年、携帯電話の「ネットツール化」に伴い、さまざまな「ケータイ文化」が出現。
その中のひとつが「ケータイ小説」とうウェブ小説だ。個人サイトから発信された作品が注目を集めた2001年の第一次ブームと、複数の投稿プラットフォームが隆盛を誇り、数々のヒット作が登場した2006年からの第二次ブームとが存在した。
ケータイ小説は、その多くが恋愛を題材に平坦で主観的、短いセンテンスで綴られているのが特徴。「小説を読んだことのない作者による、小説をほとんど読んだことのない読者のための小説」などと揶揄されることもあったが、それらの作品の中には書籍化され、ベストセラーとなるものも。
そんなケータイ小説ブームは、スマホの普及やTwitter(現:X)をはじめとする圧倒的に手軽な発信&コミュニケーション手段・SNSの登場により、2008年以降に急激に衰退。
2010年代半ばには、「小説家になろう」など数々の小説投稿サイトに投稿された非日常性の高いファンタジー作品が話題を呼ぶようになった。そこからメジャーな出版社が目をつけた作品が書籍化されることも多く、どこかケータイ小説全盛時の歴史をなぞっているように映る。
なお、両さんと小説との関わりを描いたお話が本作以外にも存在する。手短にご紹介しておくと……。
実は両さんは、すでに文壇デビューを果たしていた!!
両さんがものした小説が、あまりの斬新さに世間の話題となり、ベストセラーを生む。葛飾署を上げてのバックアップ体制が取られるが……!? 各ページの下段に小説(?)が書かれている、実験漫画でもある。
「文豪・両津勘吉先生の巻」(ジャンプ・コミックス第57巻収録)
読書家警察官がテレビに出演して!?
「私の読書エッセイ大賞」に入賞した両さんが、マスコミの寵児に。だが両さんのものしたエッセイは、小学生を集めて代筆させた代物だったのだ。慌てて猛勉強をはじめる両さんだったが!?
「天才読書家!?両さん!の巻」(ジャンプ・コミックス第65巻収録)
もしも興味を持たれたら、ぜひとも一読をお勧めしたい。
それでは次のページから、両さん作(!?)のケータイ小説にまつわる騒動をお楽しみください!!



















