大屋根リングの8割は粉砕されて燃料に? SDGsとは…
来場者数以外にも課題は多い。万博の開催目的の一つに「持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献」が掲げられているが、大屋根リングの再利用計画は進んでいないのが実状だ。
部材の一部はモニュメントやベンチ、バス停、手すりなどとして再利用する案が出ていた。しかし、2万7000㎥のうち、確実に引き取りが見込めると判断した量は2200㎥であり、全体の8%程度に過ぎない。
現在の場所に一部を残すとしても、全体の8割は木材チップとして粉砕し、燃料として使われる可能性が高いという。なお、大屋根リングの建設には344億円が投じられた。
また、解体に必要な費用をどうするのかという問題もある。100㎥当たりの解体費用は1.1億円かかると見られており、ベンチなどとしての使用を想定しているのであれば、引き取り側が負担するのは現実的ではない。解体費用は会場建設費などで負担することになるのではないか。
海外パビリオンの工事代金が未払いになっていることも問題だ。一次請けが下請けに支払えず、連鎖的な未払い問題へと発展している。当事者間で解決すべき問題ではあるものの、万博が日本や関西経済の活性化を目指す中で、中小企業が未払い問題に巻き込まれて苦しむのでは本末転倒だ。
万博は本来のあるべき目標来場者数にスポットを当てつつ、目の前にある課題を一つ一つ丁寧に解決する努力を重ねる必要がある。
文/不破聡 撮影/集英社オンライン編集部