万博は本当に開幕前の“ネガティブムード”を吹き飛ばしたのか?

しかも、1日平均のチケット来場者数12万人というのは黒字化の採算ラインに乗るという目標の下限に過ぎない。万博協会は最終的な来場者数の目標を2820万人としている。開催期間の折り返しを過ぎた7月26日時点の累計来場者数は1366万人で、半分にも届いていない。

目標到達には、今後は1日平均18万人以上を集めなければならない計算だ。直近1週間の1日の平均は関係者を含めても14万人だった。

万博の公式ホームページには、「日本、大阪・関西で開催する万博の多彩な魅力」として、「約2兆円の経済波及効果が見込まれる」とある。これは経済産業省がはじき出した経済効果の試算で、総額2兆9000億円から建設投資のおよそ9000億円を差し引いたものだろう。

大阪万博の入口周辺のオブジェ
大阪万博の入口周辺のオブジェ

来場者の消費がおよそ1兆4000億円、運営・イベントが6800億円との見込みを出していた。この試算の前提条件にあったのが、想定来場者数2820万人というもの。この数字をクリアしなければ、万博開催の大義名分を失うことになるのではないか。

万博は1日当たりの来場者数が、「東京ディズニーランド」(TDL)を上回るペースになっていることでも話題になったが、経済産業省も、「TDL を遙かに上回る人員を動員しつつ、課題も機動的に解決されていることに敬意を表したい」とその功績をべた褒めしている。

来場者の満足度も高く、開催前のネガティブムードを払拭した実力は確かに優れたものだ。

しかし、7月26日時点で想定来場者数は半分にも届いていないのが事実であり、会期後半から終盤に最終的な目標達成に向けて、粛々と打ち手を繰り出すのが筋だろう。

なお、2005年の愛知万博は目標としていた1500万人を大幅に超過し、最終的に2200万人を突破した。運営費はおよそ600億円で、129億円ほどの黒字を出している。大阪万博の運営費は愛知万博の約2倍となる1160億円だ。