業界団体の要望ばかり聞く自民党
自民党は政策決定の過程で、各種業界団体を集めてヒアリングを実施する。国民の幅広い意見を聞いたという形式を整えるためである。
ヒアリングの場で業界団体から噴出する要望は、決まって自らの業界への補助金の増額や、新規参入を妨げ、競争を制限するための規制強化である。経済学でレントシーキングと呼ばれる利権追求活動が、日本の生産性向上とイノベーションの最大の足かせとなっているのだ。
自民党は、日本経済の将来的な活力よりも、目の前にある団体の要望を聞いて対策を立てるところで仕事が終わると信じているらしい。少子化対策も、地方創生も、予算をつけただけ。成果は何一つ出ていない。
もし、経済成長を半ば放棄するのであれば、政党としての基本理念に立ち返るべきである。自民党の公式な綱領には「自主憲法の制定」が明確に掲げられている。
憲法改正は、1955年の結党以来、片時も揺らぐことのなかった党是であったはずだ。自民党は憲法改正を重要な政治課題としつつも、具体的な行動を全く起こさなかった。
効果の疑わしい補助金と時代遅れの規制強化に終始する政府
石破首相のこれまでの言動と現在の態度は、この自民党の現状を象徴している。石破氏は権力の中枢にいない時期、時の政権や他者の政策、あるいは言動を執拗に批判し続けた。
だが首相の座に就いた途端、何ら具体的な政策を打ち出せず、重要な課題に対して行動を起こす気配すらない。政策実行の遅れや停滞を、野党の協力不足など他者のせいにする姿勢は全く変わらない。国民にとって魅力のない政策しか打ち出せない政治家としての無能さを露呈しているだけである。
かつて小泉進次郎氏が発言した、「自民党は他の党よりマシ」という言葉が、自民党自身の自己評価の低さと、政策立案能力の欠如を雄弁に物語っている。
農業分野においても、自民党の無策ぶりと現状維持への固執は顕著である。補助金をただばらまくだけで、その国の農業が力強く発展したという成功事例は、世界のどこを探しても存在しない。
日本政府は、効果の疑わしい補助金と時代遅れの規制強化に終始している。現実に農業が大きく発展した国は、例外なく市場における競争原理を大胆に導入し、生産性の向上を促してきた。