大会直前に森保監督の戦い方を革新できるかが鍵
二人と同じく序列ポイントを稼いだのは、板倉滉(シャルケ)、三笘薫(ユニオン・サンジロワーズ)の二人か。板倉はセンターバックとして3番手を確保し、5バックの中心としてもテストされ、加えて遠藤航のバックアッパーにもリストアップされた。三笘はどの試合でも左サイドから切り込み、攻撃の可能性を広げ、ブラジル戦における最大の光明だった。
序列を覆した選手がいたことは、価値ある連戦だった。
しかし、ブラジルには手も足も出なかったし、似た戦いをするチュニジアには力の差を見せつけられた。結局のところ、森保監督が誰を外すか選ぶか、というよりも、選手が森保監督に選択を迫る、という試合だったかもしれない。無理矢理に守備重視のシステムに選手をはめ込むよりも、適材適所で能力の高い選手がピッチに立ったほうが、結果も内容も良かったのだ。
W杯を半年後に控えて、選手が台頭したことは望ましいが、このままでは“一敗地にまみれる”という危機感が消えない。欧州の最前線で戦う選手たちが、森保監督の戦い方を革新できないか。過去にも、2002年W杯では選手の話し合いでフラットスリーをほぼ捨て、2010年W杯では負けないためのサッカーに転換し、2018年W杯でも長谷部誠を中心に選手が判断をゆだねられ、ベスト16に進出した。どれも大会直前で舵を切った結果だ。
鎌田、堂安、板倉、三笘のような選手が監督のつくる序列を完全に覆した時、一つの光明が生まれるかもしれない。
文/小宮良之 写真/ヤナガワゴー