外国人観光客にとっては“夢の空間”

一方、外国人にとって日本のクラブは、“理想のナイトライフ”そのものだ。ウクライナから来日した30代の男性は、満面の笑みを浮かべながらこう語る。

「毎日通ってるよ! 洋楽のEDMがガンガン流れてて、テンションぶち上がる。ブラジル、フィリピン、アメリカ……いろんな国から来た人がいて、気づいたらみんな友達。こんなに国を超えて仲良くなれる場所、クラブ以外にないと思う」

アメリカから来た26歳の男性はクラブ近くのコンビニ前でこう話す。

「ナンパ目的で来たんだけど、日本人が少なすぎてびっくりしたよ。クラブの中で酒を買うよりコンビニのほうが安いから、外に出てきて今は休憩してるところ」

深夜1時台にもかかわらず、クラブ付近には大勢の外国人の姿が(撮影/集英社オンライン)
深夜1時台にもかかわらず、クラブ付近には大勢の外国人の姿が(撮影/集英社オンライン)

「日本人いねぇ!」ナンパ目的の日本人男性からは嘆きの声 

クラブを訪れる日本人たちはこの状況をどう思っているのだろうか? ナンパ目的でクラブを訪れたという20歳の大学生は、苦い顔でこう漏らした。

「夏だし、ギャルをナンパしたくて来たんだけど……日本人、マジでいなさすぎてビビった。思わずフロアで『日本人全然いねぇ!』って叫んじゃったよ」

取材に答えてくれた大学生(撮影/集英社オンライン)
取材に答えてくれた大学生(撮影/集英社オンライン)

さらに彼は、思わぬ“夏の恐怖体験”にも遭遇したという。

「その場にいた見知らぬ外国人から、いきなり『Do you have weed(大麻)?』って聞かれてさ。怖くて、速攻で逃げた」

また一部では違法薬物が横行している店舗もあり、薬物の目撃談や体験談も複数あった。

「目が完全にイッちゃってて、壁としゃべってる人もいた。“携帯を持ってないのにエア通話してる”とか、マジで怖いですよ。どこで薬を入手してるかは分からない。でも、早く摘発されないと日本のクラブ文化が終わる」(前出・30代DJ)

また、クラブ近くのコンビニ付近にいた22歳大学生の男性は、怒りをにじませながらこう語った。

「クラブの中で、190cmくらいの白人に思いきりぶつかられて、その人が手に持ってた酒が全身にかかってびしょびしょ。こっちは呆然としてんのに、相手は謝りもせずそのままフラフラっと消えてった。仕方なくクラブを出て、コンビニでTシャツ買い直す羽目になったよ」

クラブ近くの路上には多くの外国人がたむろし、タクシーのクラクションが鳴り響く場面もあった(撮影/集英社オンライン)
クラブ近くの路上には多くの外国人がたむろし、タクシーのクラクションが鳴り響く場面もあった(撮影/集英社オンライン)

「ジャップ ファックユー!」 日本人女性への差別も  

一部では、日本人を狙ったヘイト発言も起きている。20代の女性は、怒りをあらわにこう語った。

「クラブで知らない外国人に『ジャップ ファックユー!』と急に叫ばれて怖かった。そこまで日本人が嫌いなら来ないでほしい」

毎週末クラブに通うという24歳の男性は、こう語った。

「1年前より外国人が急増して、言葉の壁とか支払いトラブルもよく見るようになった。混雑してる中でモタモタされると、正直ストレスだよ」

東京のナイトライフは今、観光と混乱が交差する場と化している。このまま放置されれば、取り返しのつかない事態にもなりかねない。若者たちが楽しみにする“夏休み”は直前まで迫っている。

クラブ近くの路上に散乱するゴミ(撮影/集英社オンライン)
クラブ近くの路上に散乱するゴミ(撮影/集英社オンライン)
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班