部下との接し方に悩む“昭和上司”の姿も
――作品を手掛ける前と今とで、はやかわさん自身の中でハラスメントに対する価値観に変化はありましたか?
僕自身はめちゃくちゃありました。人に圧を与えないコミュニケーションの取り方だったり、年齢、性別、社会的地位、すべてなしにして、どんな人ともフラットに接することができる人間であろうと努力するようになりました。
――ハラスメントが多様化する中、部下との接し方に悩む昭和上司の姿もとてもリアルでした。
実は、最初は社員相談室カウンセラーの御手洗を主人公に設定していました。キャラクターは犬神のまま、クールで強くてかっこいい女性カウンセラーがサバサバ闘っていく物語を描く予定でしたが、読者層の大半が男性なのもあり、編集者から「面白いんだけど、男性は女性に説教されるのを嫌うから…」と言われ、主人公を男性の犬神に変更しました。
エンターテインメントとして描きたかったし、読んでいる人に伝わりやすいなら男性を主人公にするのもありだなと思って。
それなら編集長と副編集長に刺さる話を描こうと、監修の柊さんに「中間管理職として好かれる人と好かれない人の違い」などを聞いたうえで、自分が人間をどう見ているかを組み合わせながら、「昭和上司」の話を作っていきました。
――現在は会社内のハラスメントに特化していますが、今後、社外のハラスメントも描く予定はありますか。
それは今相談中なんですが、カスハラだったり、購買層との戦いだったり、会社の外に出ていく話はあると思いますので、今後の展開を楽しみに待っていていただければ。