スーパー戦隊の女性キャラは必須
一方で、「なるべく奇数に」という白倉氏の発言も気になる。なぜ4人組は避けられるのだろうか?
「明確なルールはありませんが、『奇数』というのが“お約束”なんです。そしてこれは、スーパー戦隊シリーズに限った話ではありません。映画『七人の侍』もそうですよね。『六人の侍』ではしっくりこないでしょう。集団は3人・5人・7人が基本……。これは歌舞伎など伝統芸能の時代から続く、業界の“申し送り事項”のようなものです」
予想外の回答だが、他方で主な視聴者層である男の子たちのことを考えると、「全員男性でもいいのでは」とも思えてくる。多くの男の子にとって、欲しいのはレッドの玩具であり、ピンクを与えられても戸惑うかもしれない。
「実際、スポンサーの立場から見ても、全員男性キャラクターのほうが都合がいいこともあります。男の子にとって、同じ“男性”という“なりたい理想像”としてのヒーローに憧れるのは自然なことです」
ただ、スーパー戦隊シリーズの視聴者層は男の子だけに限らない。
「とはいえ人口比でいえば、男女は半々です。番組人気という面では、女の子を含めた“女性層”も間違いなく大切なお客様。番組として、女性視聴者は決して取りこぼしたくない存在なのです」
「ニチアサ(※)」は、『プリキュア』シリーズから始まり、『仮面ライダー』シリーズを挟んで『スーパー戦隊』シリーズへと続く構成になっている。『プリキュア』を見て、そのまま『スーパー戦隊』シリーズを視聴する女の子がいても不思議ではない。(※テレビ朝日系で放送されていた、子ども向け番組の放送時間帯に付けられた愛称)
「ただ、女性もスーパー戦隊シリーズを“男の子向けの番組”として認識しているため、やはり主役であるレッド(=男性キャラクター)に注目が集まりがちです。女性キャストがいても、女性視聴者が必ずしもそこを見ているとは限らないのです。
とはいえ、男性キャラクターだけでは“バランスを欠く”こともあります。そういった意味でも、敵役を含め、女性キャラクターは大事な存在なのです」
知れば知るほど奥が深いスーパー戦隊シリーズの舞台裏。こうした前情報を踏まえて、最新作『ゴジュウジャー』を視聴するのも、ひとつの楽しみ方かもしれない。
映画「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー 復活のテガソード」7月25日公開
取材・文/千駄木雄大