大災害よりも恐ろしい「なりすまし」
「同作にはさまざまな予知夢が描かれていますが、20年ぶりに復刻版が出されることになったきっかけは、『2021年8月の富士山の噴火』を予言していたからです。表紙に『大災害は2011年3月』という文言と、富士山噴火のイラストが描かれていたことで、同作はインターネット上で大きな話題を呼びました。ただ、実際の本には富士山噴火については触れられていません」
2011年から『私が見た未来』が話題を集めるようになると、「不思議探偵社.」というオカルトブログに「たつき諒」が登場。Twitter(現・X)のアカウントを開設して「2021年8月の富士山噴火」など新たな予言を発信するようになった。
そして2021年7月17日には、「8月に富士山が噴火する」というSNS上の盛り上がりに合わせて、飛鳥新社から『私が見た未来 完全版』が発行される予定だった。
「ところが、同社が出版契約を締結しようとしている中、別の“たつき諒”氏から電話がかかってきたそうです。本人はその時すでに60代後半で、年齢的にもネットの世界には関わっていませんでした。そんな中、姉から『復刻本を出すんだね』と言われ、疑問に思ったたつき氏本人が問い合わせたことで、『なりすまし』の存在が発覚したのです」
慌てた飛鳥新社は、発売直前の6月25日に本の発売延期と偽アカウントを発表。「たつき諒」を名乗っていたアカウントは削除され、予定より3カ月ほど遅れてたつき氏本人による解説が加筆された『私が見た未来 完全版』が発売されるに至った。
そして、その完全版に新たに加筆されたのが、「7月5日大災害説」である。
「99年に朝日ソノラマから出版された『私が見た未来』は、霊感のあるたつき氏が見た“予知夢”が描かれており、作中では津波が襲ってくるシーンが含まれています。そのため、世間では『この津波は東日本大震災を指している』と解釈されていました。
ところが、2021年の完全版では、たつき氏が『夢の中でみんな夏服を着ていたため、東日本大震災ではない』といったことを記しています。そこから、『災難が起こるのは2025年7月』という説が新たに広まったのです」