なぜ支援学級のクラス名は「ひまわり、なかよし、あおぞら」なのか
寄せられた保護者の声のなかには、全国各地で長らく用いられてきた“クラスの名前”に疑問を投げかけるものもあった。
「どうしてボクだけ“ひまわり組”なの? 数字のクラスじゃないのはなんで?」
発達障害を持つHさんの子どもは、今年4月、東京都内にある小学校の支援級に入学した。入学式が終わった帰り道、最初に尋ねてきたのがクラスのネーミングについてだった。
そして数日後、前年度まで通っていた幼稚園のお友達に「お前だけ花の名前のクラスで幼稚園のままじゃん」と指摘されたことを涙ながらに口にしたという。
「学校は、分かりやすいように花の名前にしているようですが、子どもからすれば“自分は他の子とは違う”と差別されていると感じたようです。本人はもちろん、見ている私たち親も悲しい」(前出・Hさん)
普通級が3組までの学校で、ひとつ空けた5組を支援級のクラスにする学校もあるが、ほとんどが「ひまわり、なかよし、おおぞら」など平仮名のクラスだ。
「日本は、差別しない教育を推し進めているはずなのに、現実は差別が色濃くなっているような気がしています。まずは、クラスの名前から見直してもらいたい。学校に伝えても変わらないし、どこに伝えればいいのかと日々悶々と悩んでいます……」(前出・保護者Hさん)
2012年、文部科学省は、海外でのインクルーシブ教育(障がい者を差別しない教育)にならい、『共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築のための特別支援教育の推進』において、「障がいのある子どももない子どももできる限り同じ場で共に学ぶ」などの方向性を示している。〈共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)〉
しかし、2022年には国連から日本へ「分離教育をやめるように」と勧告が出された。それから3年……現実の教育現場にその動きが浸透しているといえるのだろうか。
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取材・文/山田千穂 集英社オンライン編集部ニュース班 サムネイル/PhotoAC