女性の「男性化」を促すことの大罪

女性の活躍を推進する施策を考える時、「会社はひと昔前まで、男性のムラ社会だった」ことを考慮に入れる必要があります。

なぜなら、男性のムラ社会の制度やルールのまま女性に活躍を促すと、女性の「男性化」を促すことになるだけだからです。

ひと昔前までの男性のムラ社会とは、主要な業務はすべて男性が担い、入社から定年退職まで、ただひたすら朝から晩まで仕事に勤しむ企業社会のことを指します。そして大抵の場合は、年齢と共に右肩上がりに給料も上がりました。

これが実現できたのは、家事や育児など、家の仕事を主に女性が担ったり、時には祖父母に協力してもらったりすることで、男性はあまりライフステージの変化に向き合うことなく、仕事に専念することができたからです。

こうした男性のムラ社会時代の制度やルールのままの会社は、現在でもたくさんあります。

そんな会社で働く女性は、結婚をしても出産には二の足を踏みます。なぜなら、出産と育児で仕事を長期間休んでしまったら、復職後は仕事がなくなっているかもしれないと考えるからです。

つまり、男性のムラ社会的な企業が変わらない限りは、女性の活躍を推進することは結果として女性の「男性化」を促してしまうことに繋がってしまうのです。

少子化の原因は経済的背景などを筆頭に多岐にわたると思いますが、こうした男性のムラ社会企業に勤める女性が出産に消極的になってしまっていることも少なからず関係するのではないかと、私は考えます。

では、どうすればよいのか。

男性のムラ社会の制度やルールのまま女性に活躍を促すとどうなるか…女性の管理職比率の上昇だけを目指すことが招く悲劇_1
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女性の活躍を促すのであれば、女性には出産という大きなライフイベントがあり、キャリアが中断する期間があることを前提に、会社の制度やルールを刷新することが不可欠となります。