ガード下では「立ち退き」を迫られている店も…
こうした声に杉並区土木計画課は「計画が動いていないので再開発と言われてもピンときません」との態度だ。
ただ、商店街地区の東側では反対住民がいる中で、2022年4月に杉並区が別の都市計画道路の事業申請を都に行い、同年7月に認可が下りて土地買収が始まっている。
区が決断をすれば純情商店街などを貫く道路計画も動く状況の中、松本さんらは来年春の区長選の結果次第でそうなる可能性があるとみて、この計画道路を「優先整備路線」から外すことを求めている。
一方でパレード参加者は別の心配も口にした。
JR高円寺駅のガード下の商店、飲み屋街の一部が立ち退きを求められていることが最近わかったからだ。
その店の一つ、老舗おもちゃ屋『ゴジラや』の店長・木澤雅博さん(70)は「来年3月に改修工事をするので、別のビルに移ってほしいと言われています。去年の7月ごろから話が出ました」と話す。
「私も周りの店もJRが国鉄だった1970年代から店を出してきました。20軒くらいが今回の対象のようです。10年近く前に耐震工事をしているのになんで、と思います。
移転しても家賃が高くなるとの情報もあり、そうすると廃業する店も出るでしょう。せめて数年このまま営業をさせてほしいです。このあたりの店がなくなると一つの文化が消えるのと同じです」(木澤さん)
木澤さんは計画の見直しを求める署名活動も考えているという。
これに対し高架下を管理するジェイアール東日本土地開発はこう説明する。
「老朽化が進み、漏電などを恐れています。火災で電車が止まれば大きな障害になり、そうしたリスクを低減するため改修が必要だと考えています。
街に合う感じで再開発を行なっており、高円寺駅そばのすでに改修済みの施設はテラスで外飲みができるように作っています。再開発範囲は具体的には決まっていません。(店子と)協議して個別案件ごとに進めなければならないので、いつまでに(立ち退きを)というのもないです」(広報担当者)
街の姿を残すのか、変えるのか。高円寺では違う形で新たな現象も起きている。
「パレードを始めたのは(当時40代の)うちらの仲間だけど、コロナで中断した後に再開されると高円寺でも世代交代が起きてて、2022年のパレードを見た若い人たちが『うちらがやります』って言ってきたんです。彼らは『うわー、高円寺やべー。こんな街、絶対変えたらいけないでしょ』みたいにテンション高くって。だから今回のパレードの準備は20、30代の若者がほとんどやって、完全に高円寺の新しい文化になってます」(松本さん)
昔も今も“とんがり”続けてきた高円寺、はたしてその未来は?
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班