「成績要件」と「品格要件」
これについては「ルールで問題ないのだから、批判されるのはお門違いだ」という人もいるが、横綱昇進の内規には「成績要件」と「品格要件」があるのだ。
品格については豊昇龍が取組前に厳しい表情を作ることに関して、今場所8日目のトークショーで元大乃国の芝田山親方(元横綱・大乃国)は「相手に一点集中するのはいいけど、横綱なんだから淡々と仕切ってほしい。(相手を)睨んだりするのは、横綱としての品位を欠くものではないかと。そこははっきり言わせてもらう」と指摘している。
これは、かつて元横綱・朝青龍が相次ぐ不祥事の際に批判されたことでクローズアップされたこともあり、以降の横綱については品格をそれまで以上に求められたため、土俵外の態度についてはもちろん、相撲内容に対しても厳しく見られるようになったと感じる。
横綱に対する批判について違和感を感じたり、反論があることもある。
しかし、横綱は強くて当然。
さらに、横綱としての相撲と品格が求められる。
そういうものなのだ。
求められる横綱像に寄り添いながら愛される横綱に豊昇龍はなれるのか。そして、大の里は今場所の綱取りで世間の求める横綱相撲を習得し、品格も含めて条件を満たすことが出来るのだろうか。
取材・文/西尾克洋