なぜ退職代行サービスを利用したのか
1か月ほど働きながら転職活動をした中野さんは、GW前には別の企業から内定を獲得した。一般的に退職代行サービスを利用する人は「ブラックな職場で圧が強くやめさせてもらえない」といった理由が多いといわれているが、職場の人間関係に恵まれていた彼女は、なぜ自ら退職を申し出ず退職代行を利用したのか。
「やっぱりいちばん大きな理由は、入社してすぐにやめるということを直接言う勇気がなかったというのが正直なところです。あと、やめると伝えた時に、私はあまり気が強いほうではないので、引き止められたりしたらやめられなくなってしまうと思ってしまいました。なので、確実にやめられる方法を取ったんです」
中野さんは5月初旬に退職代行を利用。すんなりと退職手続きは完了し、その後は勤めていた企業と話す機会は一度もなかった。サービスを利用してみた感想として、やはり少し罪悪感を感じたという。
「やめづらい人にとってはすごく便利なサービスだとは思いますけど、やはり短い期間でもお世話になった方に直接伝えずに簡単にやめれちゃうので、ただただめんどくさかったりとか、やめるほどの理由でなくても突発的な気持ちでやめられたり、よくないところもあるのかなとも思います」
退職代行をめぐっては多くの賛否両論が巻き起っている。「退職代行は悪」「逃げ癖がつく」など、多くの批判もあるが、本当にこのサービスを求めて、次のステップへと押しされた利用者がいることもまた無視できない。
中野さんは自身の経験を通して、「こういう人もいると知ってもらえたらいいな」と退職代行について話す。
「批判している方々が言ってることもごもっともだなって思うんですけど。それは、その方たちの意見で、『私には私の意見がある』と思って割り切っています。立場が違えば見え方も違って、別の考え方があるのは当然ですからね」