日本は「ポストが無限大に発生する」仕組み

日本の正社員の年収は若年時に低く、シニアになると高くなる。だとすると、シニアの高年収には年齢以外の「理由」が必要となります。その理由として機能してきたのが職能等級制度であり、それにより「能力が高い(だから給与も高い)」となったわけです。

この職能等級というものは、実に不思議な制度です。たとえば学級委員というのは、クラスに1人と決まっています。クラスのまとめ役であり、このポストは1人です。これならば、適任者を選んでそれで終わりとなり、多くの人は、たとえ有能で人望が厚くてもなれません。これが「ポストを基本にした人事」です。

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ところが、これを「学級委員にふさわしい能力がある人」という制度に変えたらどうでしょう。1つのクラスに何人でも「学級委員相応」の人が現れてしまうでしょう。そして、その「相応者」を決めるのが、選挙ではなく「先生の評価」だったらどうでしょう?

学級委員になりたい人は、先生の覚えを良くしようと必死になりますよね。

職能等級制度はこれと似ています。ポストの数は無限であり、それを、会社(上司)の評価で認定する。だから会社に尽くすようになる。