半年で登録者数10倍、離婚経験者は約7割のアプリ
実際に、40代以降を対象にした婚活アプリ「ラス恋」を運営するアイザック株式会社の担当者に、サービス開発の狙いを聞いてみた。
「中高年の恋愛やパートナーシップに対するニーズが確実に存在している一方、従来のマッチングアプリは若年層向けの設計が中心でした。『ラス恋』は人生経験を重ねた40~60代の方々が、“最後の恋”や“生涯寄り添うお相手”と出会える場をつくることを目的に開発しました」(アイザックの担当者、以下同)
2023年に首都圏限定で開始した「ラス恋」は、2024年9月に全国展開を遂げ、半年間で登録者数は10倍に増加。特に40代後半~50代の新規登録者が急増しているという。
「利用者はミドルシニア層が中心で、離婚経験者が約7割、未婚が約2割、配偶者と死別された方が約1割となっています。『人生最後のパートナー探し』を目的に真剣に登録される方が多く、登録から1カ月以内のマッチ率は約97%と非常に高いのが特徴です」
数年前までは「マッチングアプリ=若者の出会いのツール」というイメージが強かったが、中高年層にまで広がったのには、いったいどんな背景があるのか。
「スマホの普及やコロナ禍を経て、マッチングアプリへの抵抗感は大きく変化しました。特に中高年の中でも1980年代に“新人類”と呼ばれた世代は、団塊世代とは異なる価値観や行動規範を持ち、還暦後も新たな人生を自分らしく切り拓こうとする意志が強く見られます。
50代以上の離婚・熟年離婚の件数は年々増加し、人生100年時代の後半を共に生き抜くパートナー探しをされる方が、価値観や生活スタイルのフィットするお相手を気軽に探せるツールとしてニーズが高まっています」
早い段階で「入籍の意思」を確認されるケースが多い結婚相談所とは異なり、結婚を前提としない真剣な交際や、同居を望まないパートナー探しなど、多様なニーズに応えられる柔軟性もアプリ型の利点として注目されている。
その一方で、アプリがロマンス詐欺など不正利用の温床になっていたり、既婚者が紛れ込むケースも確認されたことから、最近は独身証明書の提出を義務付けて本人確認を厳格化するアプリが増えるなど対策も講じられている。
熟年離婚の増加に伴って活気をおびる「ラス婚」。人生の転機を経てきた中高年世代が安心して恋愛・結婚に一歩踏み出せる環境づくりがますます広がっていきそうだ。
取材・文/集英社オンライン編集部