50代のアインシュタインも悩んだ「ミッドライフ・クライシス」…殺害者リスト入り、伴侶の死…天才が中年期に抱えた孤独
相対性理論を発見し、世界を驚かせたアインシュタイン。「天才」という呼び名が最も似合うといってもいいこの大偉人は、50代から新たな挑戦を始めて、壁にぶち当たっている。アインシュタインが晩年に抱えた孤独とは……。
『大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より、一部を抜粋・再構成してお届けする。
『大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!』#2
天才ゆえの孤独とも闘いながら
アインシュタインを取り巻く状況を考えると、困難なことに挑戦することなどメンタル的にも難しそうです。しかし、アインシュタインの場合は、難題に取り組むこと自体が、何よりの楽しみだったのでしょう。
現実から逃れるように、アインシュタインはアメリカの地で、統一場理論の研究に情熱を注ぎました。
次第に社交の場からも足が遠のくようになります。アインシュタインの孤独は、同じ科学者でさえも癒すことはできませんでした。はるか先の研究を行うアインシュタインに、ついていける者は誰もいなかったからです。
アインシュタインの像(写真/Shutterstock)
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結局、アインシュタインは統一場理論の研究に30年かけたものの、答えを見つけることができないまま、1955年に76歳で没しています。
「責任世代」と言われるように、仕事もプライベートも責任ある立場となり、ストレスをためやすいのが50代。予想外の出来事に心が折れやすい時期ともいえます。
それだけにアインシュタインのように、この時期に人生をかけないと解決できないような難問に挑むことは、周囲の喧騒から逃れる有効な方法かもしれません。
文/真山知幸
『大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
真山知幸 (著)
2025/3/21
1,870円(税込)
336ページ
ISBN: 978-4799331330
渋沢栄一、マルクス、安藤百福、ファーブル、……
あの偉人はそのとき、
どんな転機を迎えたのか
「遅咲き」の人生には共通点があった!
古今東西 人生の先輩に学ぶ
折り返し地点を越えて挑戦する秘訣
後世で「偉人」と称された人のなかには、人生の後半で成功した「遅咲き」の人が少なくありません。
「遅咲き」とは単に「年齢を重ねたのちに成功した」ということだけではなく、「学生時代にはまるで期待されていなかったのに、世界を変えてしまった」ような人物のことも含まれるでしょう。本書で紹介したようなアインシュタイン、エジソン、山中伸弥さんは、まさにそのタイプの「遅咲き偉人」です。
本書は、いわゆる「大器晩成型」の偉人たちが、どのように中年期を過ごしたのかに注目しました。今まさに、多くの人が中年期に直面する「ミッドライフ・クライシス(中年期危機)」を、偉人たちはどう乗り越えたのでしょうか?(「はじめに」より)