「喪失感」が身近に。人生でいちばん不幸な「47・2歳」
絶望の淵に立たされた男の年齢は、47歳。人生で「一番不幸」と感じる年齢とされる47・2歳(米ダートマス大学研究より)のブラッド・スローンです。
映画〝Brad'sStatus〟(邦題『47歳人生のステータス』)は2017年9月に米国で公開され、主演は『ナイト・ミュージアム』シリーズのベン・スティラー、脚本は『スクール・オブ・ロック』などを手がけたマイク・ホワイト監督、制作は社会問題に切り込む作品を数多く手がけるブラッド・ピット率いる「プランBエンターテインメント」です。
部下の「この仕事をしてると気が滅入る」発言で、完全に自信を喪失したブラッドですが、息子トロイと大学受験のためにボストンの志望校をまわる小旅行に出かけたことで、少しずつ心に変化が生じ、最後には「人生で本当に大切なもの」に気づきます。『47歳人生のステータス』が描くのは、まさに「40歳で何者にもなれなかったぼくら」の葛藤であり、不安であり、他人と比較することのバカバカしさです。
40〜50歳の人生の折り返し地点の曖昧な不安は、「ミッドライフクライシス」と呼ばれ、カナダの心理学者エリオット・ジャックが1965年に提唱した概念です。
中年期になると職場での立ち位置の変化や体力の低下に加え、恩師の訃報が届いたり、同級生が亡くなったり、内的にも外的にもネガティブな経験が増え、人生の時間的展望が微妙に変化します。「喪失感」が身近になり「可能性」という3文字が消えていくのです。
でも、本当に「40歳を超えて新しい変化は訪れない」のでしょうか?
でも、本当に「人生後半戦に、可能性はない」のでしょうか?
ダメダメ中年の典型のようなブラッドが、最後に「人生で本当に大切なもの」に気づいたのはなぜなのでしょうか?