「親や近親者からの性的虐待は発覚しづらい」 

この小児の性被害の開示の難しさについて「医療の意外な場で性被害が発覚することがある」と言うのは、愛知医科大学病院の小児科医、宮本亮佑先生だ。

「以前、小学校高学年の女児が内科的な病状で入院したことがありました。やや親子関係が複雑な子で、その様子に異変を感じたので親とは切り離し、女児ひとりに話を聞きました。

すると『父から執拗に体を触られる』ことを訴え、父親との距離を取りたがっていました。すぐさま児童相談所に通告し、然るべき対策を取りました」

写真はイメージです(PhotoACより)
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さらにはこんなケースもあったと、宮本先生が続ける。

「6歳頃の男児に目やにと目の周りの赤みで細菌感染が疑われ、その目やにから主に性行為で感染する淋菌が検出されました。追加で行った喉からも淋菌を検出。そこで父親の尿も検査すると淋菌に感染していたのです。

同じように児童相談所に通告しましたが、完全に黒とは言えず性的虐待に該当しなかったケースもありました。

親や近親者からの性的虐待は、そもそも互いにある種の信頼関係があり、親や近親者は小児に対して他人以上に支配的な立場になりやすいため、より小児自身も開示しにくいし、発覚しづらいことです」

写真はイメージです(PhotoACより)
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親として、そして周囲の大人の立場として、子どもの性犯罪の予防や抑止はどうすればいいのか。

「なにより子どもの言動や表情など、少しの変化も見逃さずに『もしかしたらそういうこともあるかもしれない』という目線で見守ることです。

被害の多くが一定の年齢になるまで見過ごされている可能性もあると思います。そんな時、子どもたちは“自分が悪い”と思いがちです。まずは子どもに対して『話してくれてありがとう』『もう心配いらない』と声を掛けることが大事です」

グループチャットのメンバーはまだ全員逮捕されていない。県警による捜査と実態解明を待ちたい。

取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班