世界初となる万博での「ペット同伴入場」

学校単位で参加する場合には、会場まで電車で移動するのが難しく、バスを使えば計約3000万円がかかるとした。建設中の万博会場で爆発火災が起き、子どもたちを連れて行くことを懸念する保護者もいたという。吉村は6月3日、意向調査の結果を明らかにした。

調査対象の約73%(約1390校)が来場を望み、約18%(約350校)が「未定・検討中」、約8%(約160校)は回答がなかったという。

大阪以外の自治体も子どもの無料招待を行う。

制度の設計はさまざまだが、朝日新聞が関西5府県の対象となる児童・生徒/人数/予算額見込みを調べると、次のような状況だった(2024年7月2日時点)。

・兵庫県小中高校生/約56万人/8億円(一部は県内企業が寄付予定)
・京都府小中高校生/約25万人/3億3400万円
・滋賀県4歳から高校生/約18万人/4億〜5億円
・奈良県小中高校生/約12万7000人/1億7000万円
・和歌山県小中学生/約6万7000人/1億8000万円

初めての万博は1851年、ロンドンで開かれた。それから長らく、万博は自国の力を示す「国威発揚」の産業見本市だった。だがBIEは1994年、「地球規模の課題解決に貢献するもの」と万博のあり方を見直している。

今回の万博はそれも踏まえて「人類の健康・長寿への挑戦」というテーマを当初は考えていた。だが誘致に向けて新興国・途上国からも支持が得られるよう、幅広く解釈ができる「いのち輝く未来社会のデザイン」に変えた。

電車にも万博のビジュアルが…
電車にも万博のビジュアルが…

そのテーマを具現化する取り組みとして世界初となる万博での「ペット同伴入場」も打ち出した。小型犬に限って一定期間だけ受け入れる案をまとめたが、手間や費用(実施なら約8300万円見込み)を考えて断念した。ペット同伴入場は、愛猫家として知られ、府知事・大阪市長を務めた維新創立メンバーの松井一郎の発案だった。

万博の経済波及効果はあるが、前回の大阪万博後の歴史を踏まえれば、中長期的に大阪経済を押し上げる「起爆剤」になるかは見通せない。

巨額の公費を投じて、いまの時代に、なぜ大阪(日本)で、「いのち」をテーマにした万博を開くのか│。万博協会の「ナンバー2」で事務方トップの石毛博行は関東で生まれ育ち、「大阪」にも「万博」にも縁が乏しかった。

ただ、万博にかかわる中で抱いた思いもあるという。朝日新聞のインタビュー(2023年11月)で、こう述べた。