ぎっくり腰の治し方、対処法
ぎっくり腰になったら。急性期のセルフケア
ぎっくり腰の痛みが強く出ている時はむやみに動かず、自分が最も楽な姿勢でゆっくりと深呼吸を繰り返し、まずは痛みを落ち着かせましょう。激しい痛みが治まるまでは、患部を冷やすより、温めるほうが楽になる人が多いといわれています。
ぎっくり腰には市販の湿布薬や鎮痛剤も有効です。自宅に常備していれば、使うことで痛みが楽になることも。湿布薬は冷感タイプではなく、ロキソプロフェンナトリウムなど配合の外用鎮痛消炎剤を選ぶとよいでしょう。
・寝る姿勢
ぎっくり腰になると、大半は仰向けで脚を伸ばして寝るのは困難です。筋肉や骨の構造上、仰向けになり脚を伸ばすと腰に力が集中してしまうためです。
強い痛みがあるうちは、膝の下に丸めた毛布やクッションなどを置き、膝が90度程度曲がった状態で寝ると、楽だと感じる人が多いでしょう。また、痛いほうを上にして横になり、膝の間にクッションを挟んだり、抱き枕などを抱いて寝るのもおすすめです。
・お風呂
温めたほうが、痛みが楽になる場合は、入浴もおすすめです。無理のない範囲で、温かいお湯にゆっくり浸かって体を温めましょう。入浴には血液の循環の改善、浮力による腰の負担の軽減、自律神経のバランスが整うリラックス効果などがあるため、お風呂に入ると痛みが楽になる人は多いですが、逆に、入浴によって痛みが強くなる場合や、腫れがある、患部が熱をもっている時などは、入浴は避けたほうがよいでしょう。
ぎっくり腰からの早期回復には普段通りの生活を心がけよう
ぎっくり腰の痛みが強いうちは、横になって休む時間が長くなりますが、痛みが落ち着き、少し動けるようになったら、できるだけ普段通りの生活を心がけたほうが、早く回復することが分かっています。
イギリスの医学誌に掲載された研究では
①ベッドでの安静
②治療家による施術を受ける
③できる限り通常の日常生活を過ごす
という3グループに患者を分けて実験したところ、③のできる限り通常の日常生活を過ごすよう心がけたグループが最も回復が早く、①のベッドで安静にしていたグループが最も回復が遅かったという意外な結果※が出ました。
※ A Malmivaara,et al.N Engl J Med 1995;332(6):351-5.
他の研究でも同様の結果が出ており、動けないほどの激痛でない限り、ぎっくり腰は無理のない範囲で動いたほうが、回復が早い場合がほとんどです。痛いからといって過度に安静にしていると、逆に症状を長引かせてしまうので、痛くて全く動けないという状況が治まったら、なるべく普段通り動くようにしましょう。
コルセットはつけてもいいが、頼り過ぎは禁物
ぎっくり腰の痛みが強い時は、コルセットをつけると楽に動けるという人は多いです。しかし、ぎっくり腰の早期回復には、できる限り普段通りの生活を心がけることが重要ですから、痛みが落ち着いてきたら徐々に外すなど、頼り過ぎないことが肝心です。
ぎっくり腰が回復したら、適度な運動などによって腹筋や背筋を鍛えましょう。体幹の筋肉が、いわば「天然のコルセット」となって腰を守ってくれます。
病院でのぎっくり腰の検査・治療
腰痛の診断は、次のような手順で行われます。
長引く腰痛や、繰り返すぎっくり腰で受診した場合は、注意深い問診や診察により、他の病気が隠れていないかを確認します。その際、神経の異常がないかもチェックします。さらにレントゲン検査を行うことが多いですが、神経や椎間板などの組織の状態はレントゲンでは分からないため、状況に応じてMRIやCTなどの精密検査をすることもあります。
他の疾患の疑いがなく、原因の特定を急がない「ぎっくり腰」と診断がつけば、湿布薬や飲み薬などの治療薬が処方されます。急性腰痛の治療薬として主に用いられる薬剤は、ロキソプロフェンナトリウムやジクロフェナクナトリウムなどの成分の入った、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)です。注射も有効で、痛みを取り、炎症を抑える薬を注射することで症状が軽くなり、回復が早まることもあります。